相続税対策で生前贈与する際の注意点とは?

本記事は、執筆時の情報を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。

 

相続税の基礎控除額の減額、相続税率の引き上げが、2015年に実施されました。

その結果、相続税を課税される方が以前よりも多くなりました。

そういった背景もあり、相続税対策として生前贈与に興味を持たれる方が増えています。

その際にはどういった点に注意すればよいのか。

本記事では、そちらについてご説明します。

 

※令和5年の改正追記あり

 

目次

1.遺産額が基礎控除内におさまっていれば相続税対策はいりません

2.生前贈与では税金がかからないというわけではない

3.生前贈与でも相続税がかかる場合がある?

4.相続開始前7年以内に贈与を受けた財産

5.相続時精算課税を選択した贈与者から贈与を受ける財産

6.おわりに

 

相続税対策で生前贈与する際の注意点とは?

 

1.遺産額が基礎控除内におさまっていれば相続税対策はいりません

生前贈与について考える前に、まず基礎控除についておさらいしておきましょう。

 

そもそも、遺産額が基礎控除内におさまっている場合、相続税対策を理由に生前贈与をする必要がないからです。

 

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めることができます。

 

「相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数」たとえば、法定相続人が3人いる場合、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

 

そのため、この場合、相続税の課税対象となる遺産総額が4,800万円を下回る場合、相続税がかからず相続税対策について考える必要はないのです。

 

この時、注意しておきたいのが生前贈与について考える前にまずは、遺産額に相続税対策が必要な金額なのかどうかを確認しておきましょう。

 

(関連記事)

相続税はかかる?かからない?基礎知識と計算方法

 

2.生前贈与では税金がかからないというわけではない

相続税対策として行われることの多い生前贈与ですが、生前贈与をすることで税金がかからないという考え方は間違いです。

 

注意点としては「生前贈与」という言葉からわかる通り、贈与に位置づけられるため、贈与税がかかってくるので覚えておくと良いです。

 

しかし、生前贈与を行っても贈与税を支払う必要のないケースがあります。

対策として生前贈与を行う際には、こういった点についても知っておきましょう。

 

3.生前贈与でも相続税がかかる場合がある?

生前贈与は贈与にあたるので、相続税ではなく贈与税が課税されると説明してまいりました。

 

しかし、この例外にあたる場合がありますので注意が必要です。

 

以下でご説明してまいります。

 

4.相続開始前7年以内に贈与を受けた財産

亡くなる前の7年間に実行された贈与がある場合、贈与された財産は相続財産の計算に足し戻さなければなりません。

 

足し戻される額は、相続開始前3年以内の贈与については基礎控除前の価額、それ以前の贈与については合計額から100万円を引いた価額となります。

 

※令和5年の改正で、相続開始前7年以内におこなわれた贈与は相続財産に加算しなければなりませんが、その対象は令和6年以降におこなわれた贈与となります。

 

この際、既に贈与税を支払っていることもあるでしょう。

その場合、改めて相続税を支払う必要はありますが、相続税と贈与税の二重支払いになることはありませんので、安心しましょう。

 

この場合、支払う金額は相続税の税額から既に支払いをした贈与税の税額を差し引いたもので良いという決まりになっているからです。

 

ただ、例外として、既に支払っている贈与税の金額が、課されるべき相続税の金額よりも大きかった場合は差額が還付されることはありません。

 

生前贈与をする際は、この点について、事前にしっかりと考えておくようにしましょう。

 

5.相続時精算課税を選択した贈与者から贈与を受ける財産

相続時精算課税という制度があります。

 

この制度は、祖父母や父母から贈与を受けた財産の価額が2,500万円以下であれば贈与税がゼロになるという制度なのです。

 

この制度を利用する際には、注意が必要です。

 

この制度を利用することで上記の金額内であれば、贈与税はゼロになります。

しかし、相続をする際には、この制度を利用して取得した贈与財産とその他の相続財産とを合わせた遺産総額には課税されることになります。

また、2,500万円を超えた部分に関しては、一律で20%の贈与税の支払いが課せられます。

 

※令和5年の改正で、令和6年以降の贈与については、各年の贈与財産の価額から基礎控除額(110万円)を控除した金額で計算します。

また、生前贈与された土地または建物が被災した場合、相続時にその土地または建物の価格を再計算する制度が創設されました。

 

これらの注意点を理解して、利用するかどうかを選択するようにしましょう。

 

6.おわりに

相続税対策として、生前贈与は有効な手段です。

なるべく支払う税金を少なくし、より多くの財産を残したい。

そのように考える方は少なくないでしょう。

 

だからこそ、生前贈与を行う際には、本記事でお伝えしたような注意点に気を付けておきましょう。

 

場合によっては、相続税を抑えるために行ったはずの対策で逆に支払う税金が多くなってしまうということもあります。

 

そうなってしまうことのないように気を付けましょう。

 

できれば、相続税対策の専門家に相談し、意見を仰ぐようにすると安心でしょう。

 

 

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