【遺産相続】遺産分割調停についての基礎知識

本記事は、執筆時の情報を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。

 

相続人が複数人存在していた場合、遺産相続の分割方法を決める遺産分割協議を行う事となります。

多くの場合、全ての相続人が納得する分割方法が決められることでしょうが、中にはスムーズに話し合いがまとまらないケースもあります。

この場合、第三者の力を借りて分割方法を決める事となります。

 

本記事では、第三者が介入して遺産分割方法についてまとめる“遺産分割調停”についての基礎知識をお伝えします。

 

 

目次

1.遺産分割調停とは?

2.遺産分割調停の期間や回数について

3.遺産分割調停の大まかな流れ

4.遺産分割調停の申し立てはどうすればいい?

5.おわりに

 

【遺産相続】遺産分割調停についての基礎知識

 

1.遺産分割調停とは?

遺産分割調停とは、冒頭で少し触れた通り、遺産分割協議がうまく纏まらなかった場合に第三者を交えることで遺産の分割方法を決める制度です。

 

遺産分割協議が長引いてしまうと、相続人毎が負担する税を把握できず、申告や納税が遅れ、最悪ペナルティを受ける可能性があります。

 

話し合いがまとまる気配がなければ、遺産分割調停制度を利用しましょう。

地元の裁判所から選ばれた裁判官と弁護士など有識者から選ばれる“調停委員”と呼ばれる人物が、相続人に代わって話し合いを進めます。

各相続人の意見を代理人同士で行うことによって、相続人同士で顔を合わせて話し合いをするよりもすんなりと話し合いが進み、遺産の相続で揉め事が起こる心配もありません。

 

2.遺産分割調停の期間や回数について

遺産分割調停の期間は、協議参加者数やケースによって変化しますが、おおよそ1年程かかるとされています。

 

この間、2カ月に1度に話し合いが繰り返し行われます。

「調停期間が1カ月以内」「調停回数が1,2回程度」といったことは稀で、最長で3年以上にも亘って遺産分割調停を繰り返す場合もあります。

 

遺産分割調停をもってしても決着が着かない場合、遺産分割審判へ移り、家庭裁判所が審判を下します。

 

3.遺産分割調停の大まかな流れ

遺産分割調停は以下の流れで進められます。

 

 

①財産と相続人の調査を行う

相続においては相続人と相続財産を確定させている必要があるため、はじめに相続する全ての財産と相続人となる人物を調査します。

 

②遺言書が遺されていないか調査する

財産分割方法について記されている可能性がある遺言書を探します。

存在していた場合、その遺言が法的な効力を有するかを調査します。

 

③遺産分割協議を行う

上項の調査が完了したら、財産の分割方法について全相続人で話し合いを行います。

 

④協議が上手くまとまらなかった場合、遺産分割調停を申し立てる

必要な書類を一式用意した上で、権利を有する者が家庭裁判所へ申し立てます。

権利を有する者・必要書類については、後程解説します。

 

⑤調停期日に家庭裁判所へ赴く

調停日が記された書面が返送されたら、指定の日時に裁判所へ赴きます。

控室は別に分けられており、最初と最後のみ遺産分割調停に参加する他の相続人と顔を合わせます。

 

⑥調停を幾度か重ねた後、成立・不成立を確認する

数回にわたって遺産分割調停を重ね、相続人同士の意見をすり合わせていきます。

成立した場合は調停調書にまとめられて終了しますが、不成立かつ調停の取り下げがされない場合は⑦へと進みます。

 

⑦不成立であった場合、審判または裁判へ移る

調停から裁判という形へ移行し、相続人同士で互いの主張を争うことになります。

 

 

次に、④で触れた申し立て権利を有する者と必要書類について触れていきましょう。

 

 

<申し立てができる人物>

 

①共同相続人

単独相続を行わない場合において、分割する前の財産を共有している相続人(たち)を指します。

 

②包括受遺者

被相続人から遺贈によって財産の一部分を譲り受けた人物を指します。

遺贈によって全ての財産を譲り受けた場合、単独相続となるため遺産協議の必要がなくなりますが、一部のみ譲り受けた場合は協議に参加する必要が出るため注意が必要です。

 

③相続分譲受人

相続人には、遺産分割の前に第三者へ相続分を譲り渡す権利があります。

この権利を行使してある相続人から、その人の持つ相続分を代わりに譲り受けた人物の事を指します。

 

 

<必要書類>

 

①遺産分割調停申立書

遺産分割調停を申し立てる旨を記載した用紙です。

家庭裁判所で入手できる他、インターネット上からダウンロードして印刷することも可能です。

 

②財産目録

財産や当事者などが分かる書面です。

 

③被相続人の出生から死亡までが記録されている全ての戸籍

 

④3カ月以内に取り寄せた相続人となりうる全人物の戸籍と住民票

 

⑤遺産証明書

 

 

③⑤以外は、いずれも申し立てる人数分だけ必要となります。

その他、事情説明書など個別に書類を求められることがあるため、裁判所にしっかりと確認を取った上で不備なく必要書類を集めておきましょう。

 

 

なお、申し立てには

 

①収入印紙分1,200円

 

②裁判所より調停期日通知書など、書類を返送する際必要となる郵便切手代金(当事者数分)

 

③必要書類一式を取りそろえるための費用

 

がかかります。

 

4.遺産分割調停の申し立てはどうすればいい?

遺産分割調停は、遺産分割協議がうまくまとまらないと分かった後、権利を有する者が申し立てることによって始まります。

 

ただし、

 

①法的に有効な遺言書が存在している

 

②申し立てを行う人物が正式な相続人でない

 

③財産の中に相続財産と呼べないものが存在している・財産が共同相続などによって隠されている

 

場合、調停を申し立てられません。

 

遺産分割調停の申し立てについては、専門知識を有する専門家に依頼する事も可能です。

 

5.おわりに

遺産分割協議が長引くと、相続税申告・納税の遅延につながります。

しかし、相続人が複数人存在すると、協議をうまく取りまとめることが難しいと感じるかもしれません。

相続で意見の対立が起こるなどして進展しない時には、遺産分割調停といった形で基礎知識のある第三者の力を借りて上手く遺産の相続について解決しましょう。

 

 

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