相続税は正しい認識と判断を~修正申告にならないために~
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遺産総額が基礎控除額を超える場合は、相続税が課税されますので申告が必要となります。遺産相続において相続税を支払っている人の割合は、国税庁によると、日本全国の平均で約8%の人とされています。
とはいえ、平成27年1月1日以後の相続等については、平成25年度税制改正で基礎控除額の引下げ等が行われたこともあり、課税対象となる方が以前より増えてきている傾向にあると言えるでしょう。
あっという間にやってくる相続税の申告期限
相続税の申告と納税は、被相続人の死亡の日を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。しかも納税は現金が必要なため、事前に納付資金を準備することも欠かせません。
10か月と聞くと長いように感じますが、申告には戸籍謄本や印鑑証明など多くの資料を相続人全員が準備する必要があり、思っている以上…それこそあっという間に期限が差し迫ってきます。
一番大変な手続きといえば、財産の分割を決め、「遺産分割協議書」を作成することです。相続人全員が納得しなければ財産の相続が永遠に決まらないことになってします。
相続財産が多い人ほど納税額が高くなる…相続税の計算
相続税の納税額の計算はいくつか工程があり、以下のようになります。
① すべての相続財産(※基礎控除を差引後の財産額)を相続人が法定相続分で相続したと仮定して財産を振り分ける。
② 各個人に振り分けられた財産の額に各個人ごとに適用される税率を乗じて個別に税額を算出する。
③ 個別に算出された税額をすべて合算する。
④ 相続人が実際に相続した財産の割合に応じて合算された税額を割り振り、各相続人の納税額を決定する。
ざっくり言いますと《総財産が大きければ納税額が高くなり、相続する財産が多かった人ほど納税額が高くなる》計算式になっています。
(関連記事:相続税はかかる?かからない?基礎知識と計算方法)
税務調査~預金口座の動きは事前に把握される
税務調査がある場合には(一概には言えませんが)、相続税の申告書提出から1~2年程度経過してから税務署から連絡が来て、調査が行われることが多いと言われています。
「定期預金を隠し持っているがこれぐらいなら税務署にもバレないだろう」、「預金の実質の所有者は被相続人だが名義は別の親族になっているから申告しなくても問題ないだろう」と思っていても…実は税務署にはバレてしまうのです。
税務署はどのように税務調査を行うのでしょうか?
税務署は調査に来る前に、銀行に網羅的に照会をかけており、被相続人はもちろん、相続人全員の預金口座の動きは事前に把握しています。
申告のない預金やその中の不自然なお金の動きに目をつけてやってきます。
修正申告になれば相続人全員が相続税を追加納付に
相続税の申告は財産を多く所有している方が対象になるため、税額が何百万、何千万となることも少なくありません。そのため、税務調査で申告漏れとなった場合には追加で多額の納税を強いられることが想定されます。
相続税の修正申告の場合には相続財産全体が膨らむことになるため、すべての相続人が追加の相続税の支払いと追徴課税を受ける形になってしまいます。
さらにそれだけでなく、追加で発生した財産について追加分の遺産分割協議書を税務署に提出することになるため、相続人全員の押印を再度とることになります。
つまり、とにかく手間が増して時間もとられた上で、追加の納税額をとられてしまうのです。
このようなこともありますから、正しく認識し、判断できることが重要と言えます。申告する必要のある財産かどうか、評価額はいくらになるのか等、相続が発生した場合には専門家の税理士に相談することをお勧めします。
(税理士法人ティグレパートナーズ)
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