未収家賃がある場合、相続税はどうなる?
本記事は、執筆時の情報を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。
不動産経営をしておられる方が被相続人となった場合、気になることの一つに未収家賃の問題があります。
未収家賃に対して相続税がかかるという話もありますが、それは本当なのでしょうか?
本記事では、未収家賃について、またその相続税についてご説明いたします。
目次
1.未収家賃とは?その定義
未収家賃とは読んで字のごとく、支払われていない家賃のことをさします。
未収家賃は、場合によっては相続財産として計上する必要がありますので覚えておきましょう。
その場合とは、以下の条件を満たした場合のことです。
条件1:被相続人が死亡したその当日において、支払いが未だなされていない。
条件2:死亡した当日において、既に支払期日を超過している。
この場合には相続税がかかってくるため、注意が必要です。
2.未収家賃の日割り計算に注意
未収家賃は日割計算を行いませんので、そのことには注意しておかなければなりません。
本来であれば日割りに相当する日程であった場合でも、相続税申告において未収家賃は全額を計上するという決まりがあります。
相続税において、未収家賃に日割計算はありませんので注意しておくようにしましょう。
3.前受家賃は債務控除の対象になる?
不動産賃貸契約では、前受家賃というものが発生することがあります。
この前受家賃というのは、当月に次月分の家賃を支払うなどの前月に支払った場合のことです。
前受家賃の制度は不動産では一般的であるため、これがかかってくることは珍しくないでしょう。
この前受家賃の考え方において、相続開始時点で前受の家賃を支払っていれば被相続人が死亡した日付によっては日割が発生しその分を債務控除できるのではないかと考えることもあるでしょう。
しかし、こういった債務控除は前受家賃には適用されません。
債務控除の要件は、「確実な債務であること」「被相続人の債務であること」の二点です。
前受家賃は、通常の状態において入居者が死亡しそこで契約が打ち切りになるということは発生しないため、確実な債務であるということは出来ないのです。
別途例外として、被相続人が退去する予定で解約手続きを進めている途中で返還すべきである日割金額の計算がきちんとなされていた場合は確実な債務であるということが出来ることがあり、その場合は債務控除の対象となることもあるでしょう。
また、前受家賃とは別に、敷金や保証金などの金額もあります。
こういった費用は入居者に返還されるものであるため、確実な債務となります。
確実な債務であるわけですから、債務控除の対象になるのです。
4.長期間滞納が続く未収家賃について
長期間滞納が続く未収家賃に関しても、相続税がかかってくるわけですから、そういった整理は相続が発生する前に生前整理の一環として行っておくようにしておいたほうがよいでしょう。
未収家賃が長く続いている場合、その家賃の回収は困難である可能性が低くありません。
そういった回収困難な家賃に対して相続税が発生しても相続人に迷惑をかけることになってしまいます。
そうならないように、長期間滞納が続く場合に関しては生前に対応をしておいたほうがよいでしょう。
たとえば、借主の方と交渉をし、一部または全部をカットするというのも一つの手段です。
もちろん、貸主側に不備があるわけではありませんので、支払ってもらうことが通常なのですが、どうしても支払いが不可能である場合に押問答をしても仕方がありません。
裁判を検討することも一つの手段ですが、場合によっては裁判費用のほうが高くついてしまうこともあるのです。
そうなることのないように、未収家賃をカットすることも含めてどのような対応をするのかを考え実行するようにすると良いでしょう。
5.おわりに
相続税と未収家賃の関係や注意点についてご説明いたしました。
不動産経営をされている方や、親族にそういった方がおられる方は、ぜひ知っておきましょう。
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