簡単解説!国庫補助金等の圧縮記帳制度とは
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国庫補助金等の圧縮記帳とは?
国から補助金を受けた場合、受け取った補助金収入に対して法人税等や所得税等がかかります。
しかし一度に課税されてしまうと、支払う税額が大きくなり、本来の補助金の目的である「事業をサポートするための給付」という効果が薄れてしまっては元も子もなくなりますよね。
そのため、補助金を有効活用してもらえるように、補助金の一定の金額について課税を繰り延べて負担を軽減する制度が設けられています。これを「圧縮記帳」といいます。
このように繰り延べにより資金繰りが楽になることが圧縮記帳のメリットです。
ただしトータルの税額が減額されるわけではございませんことにご留意ください。
簡単な事例で解説「圧縮記帳制度」
「国や地方公共団体から補助金を受けて新しいソフトウェアを買いました」そんな時に、次のような疑問を感じる会社の社長さんがおられます。
「あれ、補助金にも法人税とかの税金がかかっちゃうんだよね?
補助金の交付要綱にも返さなくていいって書いてあったから、
もう新しいソフトの支払いもした、今お金が残ってないよ・・・」
例えば80万円の補助金を受け取って、100万円のソフトウェア(耐用年数5年)を購入した場合、今期だけで考えると
収益:100万円(=補助金)
費用:20万円(=100万円÷5年の減価償却費)
利益:80万円 ← 税金の対象
ということになってしまうのでは?と思ってしまいますね。
このようなケースでは一定の要件を満たす場合(※)には当面のキャッシュアウトを抑える方法があります。それが「国庫補助金等の圧縮記帳」制度です。
上の場合ですと、100万円のソフトウェアの取得価額を補助金の額△80万円分だけ減らして(=圧縮して)、計算上は20万円で買ったことにしてしまおう、というものです。
しかも、計算上の取得価額を20万円にまで減らすこととなると30万円未満になるので、青色申告の承認を受けている事業者の方ですと「少額減価償却資産」として、5年かけて、でなく1年で償却することもできます。そうなると今期のこの取引ではプラマイゼロということになるのです。
補助金の80万円を収益に計上して、取得価額を圧縮しないで100万円の減価償却費をじっくり5年かけて費用にする場合でも、今期だけで20万円の減価償却費を計上する場合であっても、実は長い目で見れば税額は同じです。
しかし今期の、直前で出ていくキャッシュ、という視点で考えれば、短期的な資金繰りが楽になるはずです。
自計されている方については、まずは通帳等に入金があった補助金の額を雑収入(営業外収益)や国庫補助金等(特別利益)として経理していただきまして、担当者にそういう取引があった旨を一言お伝え下さいませ。
※本コラムでは簡単な事例の記載とするために、該当する補助金の具体例や要件の詳細等は割愛しています。また繰越できる期限が近付いている欠損金(損失)がある場合等、あえて圧縮記帳をしないで計算するほうがよい場合もあります。
ご不明な点がございましたら一度弊社へご相談ください。
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