ふるさと納税は趣旨を考えて
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総務省は、平成29年4月、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」とする文章を各都道府県知事宛に通知しました。この冒頭に次のような記載があります。
「・・・ふるさと納税を通じて寄せられた資金は、子育てや教育、まちづくりに活用され、地域の活性化に資するとともに、災害時における被災地への支援としても役立っています。一方、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして行っている返礼品の送付については、最近において、・・・ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されているなどの指摘がなされています。」
現在、ふるさと納税は大人気であり、筆者も確定申告時には、ふるさと納税を行った納税者と多くお会いします。
人気の理由は、「自己負担額2,000円で各地方の名産品を手にすることができる」ということからではないでしょうか。確かのその通りです。
しかし、ふるさと納税の趣旨は、地方で生まれ育った人が、都会へ出ていき、その結果、都会に税収が集中することを緩和しようというものです。生まれ育った地方に恩返しという意味で、都会から地方への税源移転を図ったものでしょう。
ふるさと納税は、「納税」といっても、納税ではなく「寄付」なのです。寄付しますと税制上優遇されます。この結果、税金は安くなり、加えて返礼品を受け取りますので、「安く買い物した」という「結果」になるのです。
ところが、現実には、納税者はふるさと納税先の自治体を、その自治体の返礼品を基準に決め、また、自治体も多くの資金を集めようと競って返礼品の質を上げている状況のようです。上記の総務省の文章でも、このような状況は、ふるさと納税の本来の趣旨に反するとして「返礼品の送付を強調してのふるさと納税の募集」を慎むよう記載しています。
一方で、自治体の宣伝効果や地域経済への貢献という「効果」も忘れてはならないと思います。
【税理士法人ティグレパートナーズ:税理士 中村哲平】