相続権には5つの時効があります

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法的な問題の中で耳にすることの多い時効。

勿論遺産相続にも時効は存在します。遺産相続には多くの手続きと時間を要しますが、時効の期限を知らなかった場合、本来受け取れる財産を受け取れない等の不利益が生じる場合もあり得ます。

今回は、把握しておきたい遺産相続に関わる5つの時効についてお伝えいたします。

 

 

目次

1.時効1:遺産の受け取り放棄

2.時効2・3:遺留分減殺請求権・分割請求権

3.時効4:相続税の時効

4.時効5:相続回復請求権の時効

5.おわりに

 

相続権には5つの時効があります

 

1.時効1:遺産の受け取り放棄

財産の中には、不動産や株などプラスとなる遺産と、借金やローンなどマイナスとなる遺産が存在します。

財産を相続する際は、その全てを引き継がなくてはなりません。

 

被相続人が遺した財産にマイナスとなる遺産が多くて相続する自信が無い場合、相続人は財産の引き継ぎを拒否できます。

また、相続放棄には放棄するか否かを決断するための”熟考期間”が設けられています。

こちらの期限は、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内となっています。

 

ただし、財産相続するまで被相続人が遺したマイナスとなる遺産の存在を知らなかった場合、期限を過ぎてからでも相続権を放棄できる可能性があります

 

2.時効2・3:遺留分減殺請求権・分割請求権

■遺留分減殺請求権

民法第1031条において、被相続人の遺族が最低限相続できる財産が定められています。

これを遺留分と呼びます。

 

遺留分減殺請求権とは、その定められている最低限までも遺産相続できなかった相続人が、自らの遺留分を侵害している他の相続人等に対し、その侵害されている財産額を請求できる権利です。

 

遺留分減殺請求権の期限は、及び侵害されている財産があることを知った時から1年です。

ただし、相続が始まったことを知らずにいた場合、期限は10年に変わります。

仮に請求を行わなければ、本来受け取ることが可能だった財産を受取ることが出来なくなります。

一方、多くの財産を受け取った人物は相続が開始してから10年を過ぎるまでは他の相続人に遺留分の財産を支払わなければならなくなる可能性があります。

 

遺留分減殺請求権については、相続人にあたる全ての人物がよく理解しておきましょう。

 

■分割請求権

仮に、被相続人が遺言書を遺していなかった場合、相続人は遺産をどう分配するか話し合いで決めなければいけません。

これを遺産分割協議と呼びます。

 

この時、ある1人の相続人が他の相続人に対して遺産分割を提案することを、遺産分割請求権と言います。

遺産分割請求権には時効がありません。

 

仮に、遺産分割ができていない状態で相続人が亡くなった場合、「遺産分割請求権」は次の世代の方に継承されます。

 

3.時効4:相続税の時効

まず初めに、相続税の申告と納税期限は、相続の開始があった翌日から10か月となっていることを理解しておきましょう。

仮に期間中に申告を行わず放置した場合、税務署による財産調査又は税務調査が行われます。

この調査の後、税務署から納税催促状が届きますが、これを支払わずに時効を迎えると納税義務は自然に消滅します。

 

さて、肝心の相続税の時効についてですが、相続人が税の申告、納付に対して善意であったか悪意であったかによって変化します。

例えば、自分には相続税を支払う義務がないと勘違いをしていた人物は善意の相続人と判断されます。

 

しかし、故意に申告を放置していた場合や財産を一部でも隠蔽していた場合は悪意の相続人と判断されます。

善意の場合は5年、悪意の場合は7年で相続税は時効を迎えます。

 

大抵の場合は、税務調査等で納税義務を知らされることとなるでしょうから、判明次第早急に納税してしまいましょう。

納税が遅れるほど罰則が大きくなってしまいます。

 

4.時効5:相続回復請求権の時効

相続人は、ある特定の理由で相続欠格や相続廃除とされることがあります。

例を挙げれば、被相続人が存命の時に問題を起こしていた場合や、財産を相続しても相続税を支払う責任を持てない状態にあるなど、相続人となるには相応しくないと判断されると相続人になれない可能性があります。

 

仮に相続人となれない人物が財産を相続した場合、他の相続人は財産を返すよう求めることができます。この権利を相続回復請求権と呼びます。

 

相続回復の請求期限は、自身の相続権を他の人物に侵害されていると知ってから5年以内です。

もしくは相続開始時から20年以内が期限となります。

 

5.おわりに

時効を迎える前に各種の手続きや申請を済ませれば、本来受け取るべき財産を得ることができたり、ペナルティを課せられたりすることがなくなります。

しかし、期限を過ぎれば本来受け取るべき財産を受取ることができなくなり、多大な不利益を被る可能性があります。

相続にまつわる様々な権利についての事項となる期限をしっかりと把握し、大変な手続きの最中でも気を配るようにしましょう。

 

 

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