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経営者にとっていずれ避けられないのが、だれに事業を譲り渡すか、という事業承継の問題です。
そこで、子どもを含めた親族に承継する場合に活用できるのが、後継者が中小企業の株式を相続や生前贈与で引き継いだときに、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税が猶予される「事業承継税制」です。ティグレでは、同制度の活用を含め円滑な事業承継のためのサポートを行っています。こうした税制の特典を活用するためにも早めに事業承継の準備を進めましょう。
事業承継のこと、考えていますか?
事業承継には大きく分けて3つのパターンがあります。子どもをはじめ親族に承継するケース、社員に引き継ぐケース、そしてM&A などの手法を使って第三者に譲り渡すケースです。事業承継はすべての経営者にとっていずれは避けられない経営課題だけに、ティグレでは、近い将来事業承継を考えなければいけない60~70代の経営者に対し、まずは経営者が事業承継に対してどのような考えを持っているのかをヒアリングします。
複数の選択肢の中でも、子どもや兄弟など親族への承継を考えている場合に活用できるのが、2027(令和9)年までの時限措置として設けられた事業承継税制です。例えば、創業時に数百万円の資本金で事業をスタートしても、数十年が経過した現在、事業の資産価値が数億円にまで増えているとしましょう。この資産価値を維持したまま、何も対策なしで子どもに事業を承継する場合、後継者は贈与税、相続税の支払いで非常に過大な負担を強いられることになります。
2024 年までにアクションを
事業承継税制とは、後継者が中小企業の株式を相続や生前贈与で引き継いだときに、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税を猶予する制度です。税金は本業等の経営を続けられて、株も売らない限り猶予を続けることができ、最後には免除を受けることができます。2027(令和9)年までの時限措置であり、早めにアクションを起こすことが必要です。
アクションの一つ目は、2024年3月までに都道府県へ「特例承継計画書」を提出することです。そして、二つ目は、2024年11月までに後継者を役員登記させることです。
後継者の主な要件は、「会社の代表者である(代表者になった)こと」「生前贈与により、一族で50% 超の株を持ち、一族の中で筆頭株主となること」「18歳以上(贈与の場合)」「役員就任後3年経過(贈与の場合)」です。後継者は、役員就任後3年経過している必要があるため、どんなに遅くとも2024年中に役員に就任していなければなりません(贈与の場合)。
計画策定で、経営者になる覚悟を決める
制度を活用する場合、まず資産などを踏まえて納税額の算定を行った上で、都道府県に対し特例承継計画を提出する必要があります。計画の策定に当たっては、社長と後継者候補を交え、そこに第三者としてティグレの担当者が入り、承継までに会社をどのようにしていきたいのかを話し合います。そこで初めて後継者候補が、会社の具体的な経営状況、財務状態をつぶさに知ることになるケースも多く、いわば「経営者になる覚悟を迫られる」機会になるといってもよいでしょう。
そうした実態を踏まえた上で、将来自分の代に引き継ぐまでに新事業を展開したい、従業員を増やしたい、工場を建てたい、IT 化を進めたいといった具体的な計画を練って、まとめ上げていきます。そして何より大切なのはそこで3年後、5年後というように具体的な承継の時期を決めることです。
計画書を提出し、都道府県からいわば「認定」とも言うべき確認書を受け取ります。ここまでで約半年から1年ほどを要します。その後は具体的な作業に入っていき、株式の贈与の実行、贈与税申告の手続きに入ります。その後、計画の進捗状況をまとめた年次報告書や継続届出書等を都道府県及び税務署に提出します。
余裕をもって早めの準備を
ティグレでは、ある会員企業に対して社長が70歳を超え、長男が40代後半というタイミングで事業承継の話を伺い、本制度の活用を呼びかけました。承継計画の策定によってスケジュールが明確になり、現在は3年後の承継に向けて、長男が管掌分野を増やすなど、着々と準備が進んでいます。このように余裕をもって事業承継のことを考え、そのための準備に早めに取り組んでおくことをお勧めします。
【参考】法人版事業承継税制 特例措置と一般措置の比較
法人版事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2つの制度があり、特例措置については、事前の計画策定等や適用期限が設けられていますが、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の3分の2まで)の撤廃や納税猶予割合の引上げ(80%から100%)がされているなどの違いがあります。
国税庁Webサイト「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし」より
税理士法人ティグレパートナーズ北九州 |
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