消費税率10%へ~経過措置と軽減税率~

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先日(H30年10月15日)に安倍首相は、平成31年10月1日より消費税率を10%へ引き上げることを表明しました。(延期になる可能性もありますが)

前回のコラムでは、インボイス方式を中心に述べました。今回は、「経過措置」の1つである請負工事等と「軽減税率」について、簡単に述べたいと思います。

 

現行の消費税率8%は、平成26年4月1日より、導入されました。この導入に際し、一部旧税率(この時は5%)が適用される措置が設けられました。(これを経過措置といいます)平成31年10月1日からの10%への引き上げに際しましても、8%への引き上げ時と同様に経過措置が設けられています。

 

ところで、消費税率が8%適用なのか10%適用なのか、これは一連の取引のいつの時点で判断するのでしょうか。

 

確かに平成31年10月1日以降の取引の消費税率は原則10%ですが、適用される消費税率は8%なのか10%なのかは、例えば、「契約を結んだ日で決まるのか」「代金を収受した日なのか」という問題です。消費税率が8%に引き上げられる時にもこのような認識のズレが多くあったように思います。

 

答えは資産等を「引渡した日」です。工事が完成し、相手にその物を引渡した日が平成31年10月1日以降であれば10%となります。決して、「契約を結んだから」とか「お金はもらったから」と安心しないでください。(これは原則論であり一部例外もあります。)

 

さて、経過措置の1つである請負工事等についてですが、平成25年10月1日から平成31年3月31日までの間に締結した工事(製造を含む)に係る請負契約に基づき、平成31年10月1日以後に課税資産の譲渡等を行う場合は消費税率8%が適用されます。

 

注意点は、「平成31年3月31日まで」の契約ということです。つまり、消費税率が10%に引き上げられる平成31年10月1日より半年早いということにご注意ください。(平成31年4月1日から平成31年9月30日の間に契約した工事は経過措置対象とはならず10%となります)

 

次に軽減税率についてですが、以下の取引は生活の影響を考慮して、平成31年10月1日以降も消費税率8%が適用されます。

 

①飲食料品(酒類を除く)

②新聞(週2回以上発行される定期購読契約に基づくもの)

 

飲食料品には「外食」は除かれます。「外食」に該当するものは、消費税率10%が適用されるということです。ただ、外食といってもその判断が難しく「コンビニのイートインやフードコートでの飲食は?」「カラオケボックスや映画館の飲食は?」等、軽減税率の対象となる取引(何が外食なのか)の判断に労を要します。これにつきましては、国税庁でQ&Aとしてパターンが紹介されていますが、事業者の方にはかなりの負担になると思われます。

 

 

以上、消費税率10%導入に際しての経過措置並びに軽減税率について触れましたが、事業形態によりそれぞれ準備することも異なってきます。前回申し上げましたインボイス等も含め専門家へご相談の上、十分にご準備ください。

 

(税理士法人ティグレパートナーズ東京 中村哲平)

 

 

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