融資で開業資金を準備する
本記事は、執筆時の情報を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。
目次
1.開業資金はいくらかかるかを計算しましょう
■ 開業にはどんな費用がかかる?
事業をはじめるにはさまざまな準備が必要です。店舗や事務所を借りるのであれば、敷金・保証金などの費用、内装工事、外装工事や看板類、仕事で使う車両の購入、機械や設備、飲食店なら食器などの什器・備品、工具などの道具類、パソコンやネットや電話など。
さらにメニューやパンフレットの作成、ホームページやネット販売の仕組みなど、事業によってはまだまだあるかもしれません。
■ 開業後2~3か月の運転資金も含めること。
商品を売るのなら商品を仕入れなければなりません。飲食店の場合も材料やドリンク類の仕入れが必要です。商売を宣伝するための広告も必要かもしれません。これらは運転資金となります。運転資金には毎月の家賃、電気・ガス・水道などの光熱費、人件費(ご自身の分ははぶきます)、その他日常的な支払いがあります。
商売や事業によりますが、売り上げが手元にお金として入ってくるのに2か月ほどかかる場合が多いです。少なくとも2か月分ぐらいは運転資金を必要な資金に含めて考えます。
■ 必要な費用をもれなく把握することが重要
まずは必要な費用をもれなく把握することです。あとから予定外の費用が必要となると計画が狂ってしまいます。そのためには実際に経営している同業の先輩を参考にすることも有用でしょう。
また予測できない出費にそなえるため、資金計画は余裕の資金も想定しておきましょう。
2.創業計画書の作成が大事
■ 日本政策金融公庫の「創業計画書」が便利
開業資金を借りるためには、当然はじめようとしている事業がどのようなもので、どれぐらいの利益がでるのか、事業が成り立ち、きちんと返済できるのかを説明する必要があります。
そのことを書面にしたものが「創業計画書」です。日本政策金融公庫の書式がわかりやすいので参考にしてください。また、記載例も掲載されています。
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
借り入れのために無理な金額を書かずに、現実的な数字をありのままに記入ください。
■ 飲食店の売り上げ予測でよくおこる誤り
飲食店で売り上げ予測を立てる場合、席数×回転数×客単価 という計算式をよく利用します。しかし4人席を2人で使うと席数がフルに稼働しません。したがって稼働率を割り引いて計算しなければなりません。
■ 必ず第三者に見てもらいましょう。
自分ではしっかりと事業計画をもっているつもりでも、気が付かなかったことや甘い計画になりがちです。計画は必ず他の方に相談したり、見ていただくことによって完成度の高いものになります。
ティグレでは経理などの知識をもつ専門家が、多くの顧客の現実のデータを利用してアドバイスをさせていただいております。
3.自己資金はいくら必要か?
■ 全額借入ではじめるのはなかなか難しい。
当たり前ですが、借入金は利息をつけて返済しなければなりません。借り入れは少ないほうがあとの経営が楽なのは言うまでもありません。
月々の返済は、借入金額÷返済年数÷12 で計算できます。
利息はおおまかに、借入金額×利率÷12 が月々の利息です。
自己資金は多いほうがよいのですが、必要資金の半分ぐらいあれば十分だと思われます。自己資金が少なくても計画が現実的なら遠慮せず相談しましょう。また、後述する「信用保証協会」の東京や大阪では必要資金の最低10分の1と規定しています。
■ 「開業のために資金を貯めてきた」が理想。
融資する側からすると、「開業準備のためにある程度の期間コツコツ貯めてきた」というのが理想です。商売は継続することが大変ですから、長期間準備をされている方であれば継続もされるだろうと予想されます。やはりこのような方を応援したくなるのは当然でしょう。
身内の方からの出資など返済の必要のない資金も自己資金として考えられます。
■ 「見せ金」とみられないように
融資を受けやすくするために自己資金があるように見せかけることです。例えば一時的にどこかから借りて自分の通帳に入金しておくようなことです。
通帳にいきなり多額の入金がある場合、融資する側はどうしても「見せ金」を疑います。自営業をされる方は、日常的に通帳などでお金の流れが見えるようにしておくことが重要です。
■ 借金があると借り入れできないか?
住宅ローンや車のローンなど、通常の借り入れはあまり問題になることはないようです。しかしその返済もふくめて余裕のある事業計画になっていないといけませんね。
また、サラ金やクレジット、銀行のローンなどがあるとお金に困っているのではないか、返済が滞るのではないかと心配されます。また、税金や公共料金の支払いが期日通り支払われているかも確認されます。
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4.日本政策金融公庫「国民生活事業」がおすすめ
■ 日本政策金融公庫の手続きの流れ
日本政策金融公庫は中小企業や小規模事業者を支援するために、銀行などの一般の金融を補完するため設立された公的な金融機関です。全国に支店があり、「国民生活事業」と「中小企業事業」「農林水産事業」と事業ごとに分かれており、創業融資は「国民生活事業」に申し込みます。
手続きは
①申込 → ②面談日時の連絡 → ③面談 → ④店舗や事業所確認 → ⑤審査 → ⑥融資決定の通知 → ⑦契約書等の提出 → ⑧融資額の振込
となります。申込から融資実行までおおむね3~4週間かかります。
申込は、郵送や国民生活事業のホームページでも手続きできます。もちろん直接窓口でも申し込めます。必要書類はすべてホームページで公開されています。
■ どんな審査をされるの?
主に事業が計画通りにうまくいくかどうか、継続して商売が続けられ融資に対する返済が確実にできるかどうかを見定めます。創業計画書の売上などの根拠が説明できなければなりません。
またその計画が同業者の平均値と比較して無理のないものになっているかどうかも重要です。そのうえで予定している利益から返済ができて、経営者の生活費を支払えるように計画されていなくてはなりません。
そのようになっていなければ、計画している事業が継続できないと判断されてしまいます。
■ 審査に通るには準備が大事
面談をスムーズにおこない審査を通るには、事前に準備をしっかり行うことが重要です。まず計画している事業の内容や特徴をはっきり伝えられるようにすることです。次に取引先や販売先がどうなっているか?仕入先など必要なものの調達ができるか?特に自己資金があることが通帳などで客観的に確認いただけるようにしなければなりません。
また公共料金を支払っている通帳は必ず見せなければなりませんので、通帳記入はこまめにしておきましょう。
できれば予行演習をすることをお勧めします。一度口に出すことで整理して話をすることができるようになるとともに、足りない資料に気が付くこともできます。ティグレにご相談いただくと、予行演習をしっかり行いますので、融資の成功率が格段に上がります。
5.銀行で借りる場合は信用保証協会の保証付で
■ 銀行に対して保証する都道府県の公的機関
日本政策金融公庫が銀行などの補完するのに対し、信用保証協会は銀行などを応援する公的機関です。融資を受けた方が返済ができない場合に銀行などに代わりに返済(代弁済)をします。その後保証協会が債務者に損害金を加算して請求することになります。
一般に創業の場合、先行きが不透明な部分がでてきますので、銀行などが安心して融資できない場合が多くあります。そのため銀行は信用保証協会の保証を付けて貸し出すことになります。
一般に銀行に相談をおこない、銀行が保証協会に保証を申し込みますが、都道府県や市により保証協会が直接相談を受け付けるケースもあります。
融資の実行時に融資額の1%程度の「信用保証料」を引かれて振り込まれますのでご留意ください。
6.借りた後で気を付けること
■ 返済は期日通りに、1日遅れると事故扱い
日本政策金融公庫や保証協会の制度融資は担保がなくてもある程度の金額を融資してくれます。近年は第三者の連帯保証人も原則として必要ありません。事業とあなたの信用で貸し付けをしてくれます。
その信用は契約通りの返済をしていくことがすべてです。通常返済は銀行口座から自動で引き落とされます。通帳に残高が不足していると引き落としされません。翌日返済をしても「事故」となります。
このような実績は、次回融資を受ける場合に大きな障害になりますので、軽く考えてはいけません。返済に支障が出る場合は必ず事前に相談することが重要です。
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