相続税が払えない場合の対処法を教えます!
本記事は、執筆時の情報を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。
2013年に行われた法改正により、相続税を支払う対象となった人が増えました。
いざ相続税を支払おうという時になって、納税金額が意外と高額なことを知らされ驚く方もいるでしょう。
本記事では、相続税を納税したいが支払いができない場合の対処方法について触れます。
目次
1.相続税を支払うだけの預金がない場合
相続税を支払えない場合の対処方法として、税務署に申請をするというものがあります。
申請の種類としては2種あり、
①数年に亘って分割払いする”延納”
②税に値する物によって納める”物納”が存在します。
■延納とは
最大20年に亘って、分割して相続税を支払う方法です。
延納制度を利用する場合、”利子税”が期間中加算されるため、最終的な支払金額は増加してしまいます。
また、元の税額が100万円以上である場合、又は相続税の延納期間を3年以上設けている場合は担保提供が必須となります。
申請をするには条件があり、
①税額が10万円を超える
②金銭で納付するには難しい金額の範囲内であり、相応の理由がある
③”延納申請書””担保提供関係書類”を期日までに提出している
④延納税額に値する担保を提供している(※税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下であれば必要なし)
となっています。
(出典:国税庁「相続税 贈与税の延納の手引」)
■物納とは
金銭の代わりに、自身が相続した不動産などを相続税の代わりに納める方法です。
物納もまた、延納同様に条件が定められています。
①延納制度を利用しても金銭納付できない理由と金額である
②被相続人より相続した財産の内、以下の財産及び順位で、日本国内に所在している
第一順位:不動産、船舶、地方債証券、上場株式
第二順位:非上場株式など
第三順位:動産
③管理処分不適格財産でない。物納劣後財産であれば、代わりとなる財産がない
④”物納申請書””物納手続関係書類”を期日までに提出している
(出典:国税庁「No.4214 相続税の物納」)
2.遺産分割が定まらず預金が凍結している場合
名義人が亡くなった事実を把握すると、銀行は該当の口座を凍結します。
手続き完了の間に、全ての相続人にとって共有財産となる預金を、誰かが勝手に引き落とすことを防ぐためです。
口座が凍結した場合、預金の引き落としはもちろんのこと、名義変更など一切の取引が不可能になってしまいます。
凍結された口座から預金を引き落とす際は、”払い出し”手続きが必要となります。
払い出しのためには、以下の提出が必要となります。
①被相続人の出生から死亡までが記載された戸籍謄本全て
②全相続人の印鑑証明書と戸籍謄本
③被相続人の通帳や印鑑など取引に必要な物一式
注意したいのは、払い出しでの方法は相続人全員の同意が必要であるという点です。
誰か一人でも同意しなければ、この方法を用いて金銭を確保することはできません。
このように口座凍結によって起こりうる問題を回避するため、2019年に遺産分割前の預貯金の払い戻し制度が制定されました。
今までは、相続人単独では預貯金の払い戻しができなかった点について、一定額までならば許可するとしたのです。
以下の計算式を用いれば、払い戻しできる金額について求めることができます。
相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)× 1/3
×(当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)
=単独で払戻しをすることができる額
(出典:法務省「相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について」)
3.金融機関から借りるという方法
上述の方法でもどうしても相続税の支払いができない場合、銀行から融資を受けることが可能です。
延納の場合と同じく利子を払う必要性が出てきますが、延納を選択する場合よりも利率が低くなることがあります。
また、不動産売買を前提としたものもあるため、申請時に相談しましょう。
ただし、相続税自体大きな金額ですので、融資を受けるにはそれなりの担保が必要です。
場合によっては、保証人を立てる必要も出てくるでしょう。
また、金融機関から融資を受ける際には必ず審査が行われますが、これが長期に及ぶと相続税の納付期限までに間に合わないこともありえます。
早めの行動を心掛けましょう。
4.相続税を払わず放っておいたら・・・
相続税を期限内に納税をしないと、ペナルティが発生します。
期日内に相続税の支払いが完了しなかった場合、”延滞税”が課せられることとなります。
税率は変動し
①期限の翌日~2ヵ月の間は、年利2.6%(現在値)
②2か月後からは、年利8.9%(現在値)となります。
(出典:国税庁「No.9205 延滞税について」)
また、相続税は”連帯納付義務”となっています。
相続税の支払いを放置していると、延滞している本人はもちろん、他の相続人にも督促が来てしまいます。
あまりに悪質な場合は、行政によって、財産の換価処分・差押え、果ては逮捕されるなどの事態になりますので、必ず相続税を支払うようにしましょう。
5.おわりに
相続税は必ず支払わなければならないものです。
支払わずに放置し続けると、大きな罰則を受けることとなります。
しかし、仮に相続税の納税ができない状況に陥ってしまったとしても、様々な打開策が用意されています。
その中で自身にあった方法を利用し、早めの納税を心掛けましょう。
相続税の支払いに不安がある場合は、家庭裁判所や税理士などに相談するのも一つの手でしょう。
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