Plusone653
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経理まですべてを一人で背負ってきた。それでも最後に“手離す決断”をしたから、会社は次の世代につながった。「今回の事業承継は、私がすごいという話ではありません。こんな私にバトンを渡してくれた吉開さんがすごいのです」持っているバトンを離さないと、誰も受け取れない。まずは人に任せてみる、一緒に経験していく。その積み重ねが、次の世代を育てていくと林田さんは訴える。廃業寸前だった創業136年の老舗かまぼこ店を未来へつないだのは、後継者問題に本気で取り組んだ24歳の決断と、最後まで諦めなかった経営者が見せた「手離す勇気」だった。「吉開の復活には真ん中に強い思いのある人が必要だ。だから、社長は君しかいない」術もない。普通なら断る状況だった。しかし、周囲の大人たちは次々と背中を押してくる。「人生で“君しかいない”なんて言われること、なかなかないよ」と、後押ししてくれたのは、ほかならぬ林田さんの勤務先の社長だった。「もし、私が断ったら吉開は終わるかもしれない。私がやっても終わるかもしれないけど、吉開さんは『あんたがやるならよかやんね』と言ってくれました。もうやるしかないと心を決めました」2021年12月、林田さんは会社を退職し、「吉開のかまぼこ」の4代目社長に就任した。社長就任後、技術面では先代の横についてかまぼこ作りを学んでいく一方で、営業面では大胆な“リブランディング”を進めた。商品は『古式かまぼこ』一本に絞り込み、価格も競合他社と横並びだった300円から900円へ改定した。「吉開のかまぼこは、安さで勝負する商品ではないと思いました。そこで、“原料の原料まで極めた自然派かまぼこ”という希少価値をコンセプトに、ロゴやパッケージ、ホームページも全面刷新したのです」さらに、オンライン販売を本格化。クラウドファンディングやテレビ出演なども追い風となり、全国に多くのファンを持つようになった。また、有名料亭や高級ホテル、オーガニックスーパーなどへの販路も広げていく。「有名店に選ばれたという事実が、信頼につながると思っています。そんな相乗効果も期待して、一軒一軒お店を開拓しています」こうしたリブランディングを進める一方で、製造工程や衛生管理、発送方法などのマニュアル化も徹底。そのお陰で、お歳暮やおせち需要で最繁忙期となる12月に多くの臨時アルバイトを動員しても、効率のよい製造や発送が可能となった。「私がいなくても回る会社にしたいと思っています。だから、売上げや支出などの経営上の数字もスタッフと共有しています。私の給料もみんな知っていますよ」こうした“経営の見える化”により、スタッフ一人ひとりが主体的に考えて業務を進める状況にしておくことが大切だと林田さんは考える。その結果、承継後2年間続いた赤字は、3期目から黒字へ転換している。林田さんは今も事業承継問題の解決に貢献したいと考えている。「こんな縁もゆかりもない若者でも会社を継げたという事実を知って、廃業を考えている会社が少しでも踏みとどまってくれたらうれしいです」と言う林田さんが、特に重要だと感じているのが“バトンを渡す勇気”だ。「中小企業の社長さんって、経営のすべてを一人で抱えている人が多いですよね。営業も現場も経理も最終判断も全部社長。だから、気づいた時には後継者が育っていないという状態に陥ってしまうのです」実際、吉開さん自身も長年、現場から素人社長だからできた大胆な改革「バトンを渡す勇気」先代社長からかまぼこ作りを教わる林田さん福岡県みやま市にある株式会社吉開のかまぼこ本店24歳、経営経験なし、かまぼこ作りの技32

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