「おばあちゃんになってもラザニアをよそっていたい」しての人生がスタートした。フレンチ、イタリアンでのべ10年以上の調理経験を経て、将来に思いをめぐらせるようになった。「テイクアウトのお店なら子育てと両立できるのでは」と、父親の実家の納戸を改装し、2009年10月、結婚式からわずか2週間後に店をオープン。出産後は長男をおんぶしながら店を切り盛りした。松原さんは独立した頃から、店を繁盛させて、いつかは何店舗にも増やしていくイメージを持っていたという。同世代の料理人の中にはそのような姿を体現している知人もおり、それができていない自分を「恥ずかしい」とさえ思うこともあった。オープンから10年が経った頃、追い打ちをかけるようにお客さんが減り窮地に陥った。打開策を練っていた矢先、花屋を営む友人から、「あたふたしてる姿をお客さんに見せると不安がられる。自分のやり方を信じて貫くことが一番誠実な道だと思う」とアドバイスを受け、目が覚める思いがした。エリアの客層に合わせて、当初は和惣菜も作り、要望をもとにお弁当を提供した時期もあった。だが、コロナ禍を経て、思い切って欧風惣菜だけに絞ることにした。「売上を増やしたいあまり、お客さんの要望を優先し、軸が揺らいでいました。私がと違って焼菓子であれば、店に立たなくてもネットで販売できます。少しずつその準備をしているところです」。今後について尋ねると、「今食べたい、作りたいと思うものを提供し続けること。おばあちゃんになってもパテやラザニアをよそってたらかっこいいでしょ」。その言葉には、迷いを経てたどり着いた天職を続けられることへの感謝の気持ちがあふれていた。やりたかったのは、自分の表現したい料理を提供し、それをお客さんに喜んでもらうことだったとあらためて気づいたんです」。子どもの頃から変わらぬ料理作りの原点に立ち返れたことで気持ちが楽になった。コロナ禍のテイクアウト需要にも支えられ、気がつけば店も息を吹き返していた。2024年元旦に発生した能登半島地震の際には、身近な地域で起きた災害にいてもたってもいられなくなった。自分ができる支援は何だろうと考え、自信作のレモンケーキの売上の一部を義援金として寄付するプロジェクト『レモンケーキバトン』を着想し、大きな反響を呼んだ。「自分のやりたいことをしながら、まわりの人も幸せにする循環を作れたことがうれしかったですね」と、食を提供するサービスだからこそ生まれたつながりに喜びを感じている。店をオープンした時から家族との時間を最優先して、日・月・祝日を定休日とし、繁忙期のゴールデンウィークやお正月には長い連休を取ってきた。今後は身体と相談しながら、無理なく続けられる方法を模索している。一つの方向性として注力しているのが焼菓子だ。「なまものの惣菜second kitchen Oisii Deli(セカンドキッチン オイシイデリ)ショーケース越しに常連客との会話が弾む25『レモンケーキバトン』の参加者を示すハートマークのシール事業内容/惣菜製造·販売〒920-0848石川県金沢市京町11-17TEL:076-251-3160営業時間:11:30~19:00 (商品なくなり次第終了)定休日:日・月・祝(その他不定休あり)https://www.instagram.com/oisiideli/
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