6ぼくは1977年に大学を卒業してテレビ朝日にスポーツ実況アナウンサーとして入社し、そこから10年間プロレスの実況を担当しました。今でも、あの時の実況を再現しろと言われたらできます。なぜならクセになっているからです。入社した時に先輩アナウンサーから「とにかく朝起きてからしゃべることをクセにしろ」と言われました。「おっと今立ち上がろうとしています。まず腹筋と背筋を使いまして半身起き上がってまいりました。ベッドから転がり落ちるようにしてまずどこへ行くのか。本能的に洗面所に向かっているのか。鏡が見えてまいりました。おーっと私の顔だ。当たり前であります。健忘症や認知症になりますと、これはいったい誰なんだと語りかけるんでありましょう」という調子でやっていたわけです。昼間は大井競馬場へ行って1レースから12レースまで実況の練習をして、疲れ果てて帰る家路でも自分の行動を実況していました。そうしていくと自分の異常さがなという気持ちになります。初めはしんどいけど、クセになったらしめたものです。どんなジャンルでもそれは言えること。すっているわけです。クセにできたらしめたもの際立って、明日もやらなきゃいけないのかかり夢中になって、48年間この調子でやっフリーアナウンサー古舘伊知郎 氏常識を疑え大学卒業後、テレビ朝日にアナウンサーとして入社し、プロレス、F1の実況を担当した古館伊知郎氏。特に「古館節」とも呼ばれたプロレス実況は人気を誇りました。その後は「NHK紅白歌合戦」の司会を務め、テレビ朝日「報道ステーション」で12年間キャスターを務めました。講演で古館氏は「言葉の魔術師」とも形容される名調子を披露しながら、しゃべりの弱体化について警鐘を鳴らし、常識を疑う大切さを強調しました。古館伊知郎 (ふるたち いちろう)立教大学を卒業後、1977年、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。プロレス実況中継番組を担当し、豊かな言葉の表現力で絶大な人気を博した。1984年にフリーとなった後はF1や競輪などの実況も担当。1994年から96年にかけて3年連続で「NHK紅白歌合戦」の司会も務めた。また、2004年から16年までテレビ朝日「報道ステーション」でキャスターを務めた。2019年4月、立教大学経済学部客員教授に就任。2020年にYouTube「古館伊知郎チャンネル」を開設。2025年新春の集い 特別講演
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