通じて税制を決めます。つまり自分たちがつくった税制により税金は自分たちで払うというのが申告納税制度であり、これは民主主義的租税観と言われています。当然申告する権利、期限後に申告する権利、修正申告や更生の請求をする権利も納税者側にあるのです。関係者には改めて申告納税制度の本質を理解していただきたいと考えています。改めて民主党政権時に取り組まれた「納税者権利憲章」の制定過程とその意義について説明します。2011年1月に提出された「所得税法等の一部を改正する法律案」は、税制改正大綱に基づき、特に国税通則法の改正を含むものでした。しかし、法案提出後に東日本大震災が発生し、通常の政府機能が停止する中、租税特別措置法など一部の緊急性の高い法案だけが成立しました。その後、10月には与野党協議の結果、憲章については取り下げられましたが、12月には大幅な改正が実現し、税務調査の手続規定、処分への理由附記、および更正請求期間の延長が含まれました。このことは大きな前進であり、政府税調特別委員だった志賀櫻先生は「妥協の中で実現した成果」として高く評価していました。さらに、2011年12月の国税通則法の改正で附則106条が追加されました。そこには「政府は、国税に関する納税者の利益の保護に資するとともに、税務行政の適正かつ円滑な運営を確保する観点から、納税環境の整備に向け、引き続き検討を行うものとする」と書かれています。将来の検討や再び「納税者権利憲章」を導入する際に基礎となるべきもので、今こそこの106条を想起して、いろいろなところで働きかけていきましょう。国税庁は税務行政の将来像としてDX推進のビジョンを打ち出しています。DXが進むことにより、課税者は納税者のデータにさらにアクセスしやすくなります。その前提には納税者の理解と協力、そして根底に信頼関係がないといけません。今、「納税者権利憲章」は、政府と納税者の信頼関係を構築するツールとしても重要視されています。信頼が構築できないのは、世界標準の権利である憲章がないことが大きな理由であることを訴えていく必要があるのではないでしょうか。DXはもちろんのこと、公正なインボイス制度の構築のためにも有効だと考えます。経済学者の諸富徹先生は『税という社会の仕組み』(ちくまプリマー新書)という著書の中で、「そもそも納税は権利です」と説いています。そして世界の歴史を振り返って「世界の民主主義国の多くは革命を経験しているから納税そのものを、勝ち取った権利であるという意識を持っている。日本人には納税は自分たち主権者の権利であるという意識が欠けているのではないか」と述べています。このように「納税そのものが権利」という考え方もあるので紹介しておきます。香川大学教授・税理士・博士(政策研究・千葉商科大学)青木 丈 (あおき たけし)1972年東京生まれ。2001年に税理士登録(東京税理士会)。 内閣府本府行政刷新会議事務局上席政策調査員、総務省行政管理局企画調整課企画官等を歴任(2009年11月~2013年1月)。元民間税制調査会メンバー。「納税者権利憲章制定の意義を改めて考える」講演録/講演資料がティグレホームページにて閲覧・ダウンロードが可能ですhttps://tigre-org.jp/wp-content/uploads/2024/10/241028ZeiSeminar.pdf11働働ききかかけけをを110066条条をを想想起起しし、、今今ここそそ国国税税通通則則法法附附則則もも重重要要をを構構築築すするるツツーールルととししてて政政府府とと納納税税者者のの信信頼頼関関係係
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