佐藤 佐藤 佐藤 6よる起業でなければならない事業承継とは、後継者に農家さんや社員たちとも、同じ感動を分かち合う先代からは跡を継がなくてもいいと言われていたが…かったんです。そこで、飲食店やお酒のイベントで、コップに入った「佐藤」を芋焼酎だと知らせずに味わってもらってから、「おいしいでしょう?実はこれ、芋焼酎なんですよ」と種明かしするという戦術に出ました。これにより、消費者の芋焼酎に対するイメージを変えることができ、それがメディアや口コミを通して広がっていきました。また、一生懸命に芋焼酎の良さを広めてくださった酒屋さんや飲食店さんにも恵まれた結果、芋焼酎をたくさんの方々に親しんでいただけるようになったのは嬉しい限りです。橘 ばん大切にされていることは何でしょうか。例えば、お客様に焼酎を紹介する「お酒の会」などのイベントには、原料のサツマイモを作ってくださる農家さんにも時々来ていただきます。すると、お客様から「いつも良い芋を作ってくれてありがとう!」と励ましの言葉をかけてもらえます。いつも畑で佐藤社長が焼酎造りでいちそれは人だと思います。黙々と芋を育てている農家さんにとっては、それがいちばん励みになるじゃないですか。しかも、それがご縁で農家さんの畑を見学に来てくださるお客様もいるのです。農家さんも嬉しくて一生懸命説明してくれます。鹿児島弁だからほとんど伝わっていないんですけど(笑)、芋作りの情熱は伝わりますよね。橘 先程、蔵の中を見学させていただいて、社員の皆さんが元気に挨拶し、てきぱきと作業している姿を見て、人を大切にされている会社なんだなという雰囲気が伝わってきました。ありがとうございます。いつも焼酎造りに励んでくれる社員には、実際の飲食店を訪ねてもらう機会も作っています。お店で「佐藤」がどのように扱われているかを直接体感してもらうんです。すると、戻って来てから、自分たちの造った焼酎がいかに大切に飲まれ、お客様に愛されているかを熱く語ってくれます。そういう社員の想いがまわりの社員たちに伝播して、さらに良い焼酎造りにつながる好循環が生まれるのだと思っています。橘 佐藤社長は四代目ですが、今、多くの中小企業経営者が後継者不足で悩んでおられます。佐藤社長はいつ頃から跡を継ぐことを考えましたか。子どもの頃から、先代にはずっと跡を継がなくてもいいと言われていました。私もそのつもりで、自衛隊でパイロットになろうと思っていて、高3の時に入隊試験もパスしていました。ところがその頃、私の曾祖母が病気で入院してしまいました。曾祖母はかつて一人でこの蔵を支えていた時期もあって、私が跡を継がないと言ったら泣き出してしまい、その時、大好きなおばあちゃんを泣かせてまでやるべき仕事が他にあるだろうかと考えるようになりました。橘 鹿児島県には今、109軒の蔵元があって、その多くが事業承継に成功し大阪府松原市出身、1979年に中企連(現ティグレ)松原事務所に入社後、業務部長や大阪の堺支店長を経て、2015年に取締役就任。2017年からティグレグループ代表として、ダイバーシティ経営を軸に、人材育成と人財活用の組織再編を行い、多様なキャリアプランの育成システムの整備で業績及び雇用を拡大。また、ICT 推進による事業の効率化の達成ならびに生産性の向上に取り組む。橘 悦二 (たちばな えつじ) ティグレグループ 代表DIALOGUE
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