―今、AI(人工知能)がさまざまな分野で活用され始めています。がん治療にも応用される可能性はありますか。―がんの発症リスクを抑えるために気をつけるべき生活習慣はありますか。―がん検診はどのくらいの頻度で受けるのがいいですか。―検診でがんの疑いがあるという結果が出た場合どうすればいいですか。―がん治療に関してはさまざまな情報があふれています。治療法選択で注意すべきことはありますか。―ところで、大江先生は柔道七段だそうですが、医師としての仕事に役立っていることはありますか。検診による早期発見が鍵正しいがん治療情報で命を守る野なら、AIを使ってCTなどの画像診断を行うことができるでしょう。また、ゲノム医療では、この患者さんはこういう遺伝子変異があるから、こんな薬が使えるとか、そういう判断をAIに任せることもできると思います。今は「エキスパートパネル」と言って、専門家が集まって会議を開き、この患者さんはこうだからこの薬が良いとか、さまざまな議論をしているんですけれど、そういう判断もAIが代わりにやってくれるようになるのではないでしょうか。いちばん大切なことはタバコを吸わない、酒を飲み過ぎないこと。あとは検診を受けることです。日本のがん検診の受診率は50%を切っており、受診率の向上が課題となっています。一次予防(生活習慣)でがんを防ぎ、二次予防(がん検診)で早期発見・早期治療を行うことが大切です。当然あると思います。例えば診断分年に1回は受けた方がいいですね。早く見つかれば治る確率も高くなるし、それだけ治療の負担も軽くすみます。内視鏡検査で取れる程度の消化器系のがんなら、その場で切除して終わりです。もう少し進行したら手術しなくてはいけないし、もっと進行すれば手術だけでなく、抗がん剤治療も必要になります。早く見つかれば体への負担が少ない治療ができるし、完治する可能性も高くなる。だから年1回の検診は大切なんです。検診でがんの疑いがあると言われたら精密検査を受けましょう。かかりつけの先生がいたら、そこで検査できるかどうかわかりませんが、必要に応じてがんセンターや大学病院などの「がん診療連携拠点病院」(全国461か所)を紹介してもらい精密検査を受けるのがいいでしょう。「がん診療連携拠点病院」は、がん診療の基準を満たしていて、二次医療圏(複数の市区町村にわたって地域住民が比較的容易にアクセスできる範囲)内に最低1か所は整備されています。そこにはがんの最新医療情報が集まっており、医療設備も整っているので、一般的ながん治療はそこでできるはずです。気をつけたいのは「だまされないこと」です。インターネットには自由診療の治療法もたくさん出てきますが、誤情報が多く、中には詐欺みたいなものも少なくありません。がんの情報を得ようと勉強するのは大切ですけど、間違った情報で勉強すると、勉強しないよりもひどいこともあります。書店にもがんに関する本が並んでいますが、読者をだまそうとする本もあります。そういう本を信じてしまうと、取り返しのつかないことにもなるので、例えば国立がん研究センターや信頼できる医療機関のホームページなど、きちんとした研究グループが出している情報を得ることが大切です。適切な治療をすれば治る人が、そういう情報でお金を取られ、命まで危うくするのは絶対にやめてほしいと思います。それはもう、医者なんて体力勝負ですから、柔道をやって体力を蓄えたようなものです。格闘技をやっていたから、何があっても負けないぞという気合いや精神的な強さもあります。柔道をやっていることによる精神力ががんと闘う患者さんに対する医療活動に役立っていることは間違いないでしょうね。13新春特別インタビュー ❷
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