―大江先生ががん治療に専念するようになったきっかけは何でしたか。―最近のがん罹患の傾向について教えてください。―がんの部位別で死亡者数が増えているのは何ですか。日本人の「2人に1人」が一生のうちにがんにかかると言われる時代。最新統計でも、がんが40年以上連続で日本人の死因第1位を占めています。そんな中、治療法も驚くほどの進化を遂げ、「がんは治る時代」への期待感も高まっています。そこで今回は、国立がん研究センター中央病院副院長・大江裕一郎先生に、がん治療の最前線と今後の展望について伺いました。がん治療最前線を第一人者に聞く医学生時代に芽生えた「がん治療」への情熱がん罹患の傾向と治療の進歩新春特別インタビュー❷ 私は東京の蒲田で生まれました。実家は代々開業医で小さい頃からそういう環境だったので、自然な流れで医学部へ進学しました。学生時代からがん治療、特に薬物療法に興味がありました。当時、がん治療の中心は手術と放射線で、それが適用できない患者さんには抗がん剤も使われていましたが、効果の高い薬はあまりありませんでした。でも、私は将来良い薬が出てきて、がんが薬で治る時代が訪れるという希望を抱いていたので腫瘍内科を選択しました。傾向としては高齢の患者さんが増えています。がんは歳をとってからかかる傾向があるし、高齢者だとがん以外の合併症を抱えている患者さんも多い。だから、合併症の薬を飲んでいる患者さんに、新しく薬を使う時は特に注意が必要です。心臓が悪い高齢者なら手術は難しくなるし、若い人と同じ手術を行うわけにはいきません。また、高齢の入院患者さんの中には、せん妄(高齢者に多く発症する意識障害の一種で、症状が認知症と似ている)になってしまう患者さんも増えています。厚生労働省の2023年統計によれば、がんの死亡者数で最も多いのは「肺がん」で年間約7万6千人、次いで「大腸がん」が約5万3千人、3番目は22年までは「胃がん」でしたが、23年は「膵臓がん」でした。「膵臓がん」は見つけに111959年東京都生まれ。84年東京慈恵会医科大学卒業。89年から国立がんセンター病院に勤務。2014年、国立がん研究センター中央病院副院長・呼吸器内科長に就任。専門は、呼吸器内科学、臨床腫瘍学、肺がん、分子標的治療に関する研究。また、柔道七段の有段者であり、日本スポーツ協会公認のスポーツドクターも務めている。国立がん研究センター中央病院 副院長大江 裕一郎 氏
元のページ ../index.html#11