れるほど信頼を得たという。2020年6月、真空処理を施した「ちりめん山椒」が開発着手から8年がかりで認証を取得。宇宙飛行士の野口聡一さんや若田光一さんらに実際に宇宙で食べていただいた。宇宙食で培ったノウハウをもとに、2020年には難易度の高い国際的な食品安全システム認証「FSSC22000」を取得。そこで得たノウハウを生かし、おいしさを維持しながら火や水がなくても食べられる長期保存食の開発に着手し、「おもいやりごはん」シリーズの商品化につなげた。ごはんは保存期間が長引くと羊かん状に固まってしまうのだが、水分量を調整することで7年間保存してもおいしく食べられるようにし、製法特許を取得した。また、災害時に食器がなくても食べられるよう、包装の底を広くしてそのままお皿として使えるようにしたほか、スプーンを一つずつの包装に貼り付け、切り口を中段に設けることで最後まで食べやすくするなど、随所に「おもいやり」のひと手間が加えられている。2020年初頭からのコロナ禍で土産品の売上は大きく減少し、巣ごもりによる内食需要が高まる中でも佃煮の売上は伸び悩んだ。加えて、昆布、海苔、小魚などあらゆる水産原料が不足しつつあった。そこで、新しい発想による商品開発を、と営業部・開発部の若手社員を主体にした企画課を立ち上げた。その中には、宇宙食認証のニュースを見て宝食品で働きたいと入社した栃木県出身の女性社員もいる。宅飲み需要向けに若年層や女性といった新たなターゲットを狙って商品化した「宅杯瓶ほたて柚子唐辛子味」は、2024年開催の第67回全国水産加工たべもの展で大阪府知事賞を受賞するなどさっそく成果を上げている。また、2019年にグループ化した、醤油やぬか漬けの素などを同じ小豆島で製造する高橋商店の商品についても、新しい切り口、デザインで新たな命を吹き込んでいる。例えば、簡単にぬか漬けができる「ぬか漬けパック」は、商品名を「育てるぬか漬けパック」に変え、パッケージも一新したところ、売上が伸びた。また、製法特許を取得して、大豆、小麦を使わずに、そら豆と食塩だけでつくったアレルギーフリーの「そら豆醤油」はさらに注目度が高まっている。6月には台湾の展示会にも初出展するなど今後は海外市場への進出も視野に入れる。「若い世代の社員たちが活躍してくれているおかげで、私たちの世代では考えつかないような内容、デザインの商品をスピード感を持って次々に送り出してくれています。失敗してもよいからどんどん挑戦できる風土を作って、小豆島の恵みを生かし、食の未来を内外に提案、発信していきたい」と、三澤社長は力強く将来を見据えている。備蓄食に込められた数々の「おもいやり」若い世代が商品に新たな命を吹き込む事業内容/各種食品の製造販売〒761-4493 香川県小豆郡小豆島町苗羽甲2226-15TEL: 0879-82-2233 FAX: 0879-82-4635http://www.takara-s.co.jp/HPはこちらから宇宙食の認証を受けた「ちりめん山椒」のほかレトルト食品も豊富なラインナップがそろう本社隣接地には直売店の京宝亭があり、宝食品の商品を購入することができる29宝食品株式会社1948年の創業。佃煮製造からスタートし、その後レトルト食品、宇宙食、備蓄食なども手掛けるように。2019年に高橋商店をグループ化し、商品の幅をさらに広げている。
元のページ ../index.html#29