無理せず、一生現役を貫く後に、奥のスペースを使って骨董屋を始めた。照子さんは、食べる人が安心しておいしいパンを口にしてほしい、との思いから、天然酵母でじっくりと発酵させ、原材料も北海道産小麦粉など国産にこだわった。一番人気は食パンだが、季節の果物を使ったジャムや北海道産小豆を使ったあんこの入った菓子パンも好評だ。近所の人が常連客としてつくようになり、何より地域の人とのつながりが生まれたことも2人にとっては大きな喜びだったという。楽しみながら第2の人生にチャレンジする姿が地元の新聞に掲載され、それがきっかけになって全国放送のテレビ番組にも取り上げられると、人気に火が付いた。「県外から多くのお客さんが来られ、行列のできる店になりました。せっかく遠方から来ていただいたのですが、作れる量は限られているので、買っていただけない方もあり心苦しかったですね」。一方、店の約7割のスペースを占めているのが骨董品だ。江戸時代から明治、大正期に作られた陶器が多く、中には16世紀に作られたという古伊万里のお皿も。また、昔懐かしいブリキのおもちゃや昭和の街で見かけた看板類などが所狭しと並んでいる。「骨董品はちらほらと売れる程度。収入は家内のパンに頼っています」と苦笑する龍一さん。パン作りは照子さんが担っているが、パンを切ったり、接客は龍一さんの担当だ。お店を開けているのは木曜日と土曜日の週2日だが、パンを作るための天然酵母作りに24時間、生地の発酵には10時間ほどを要するので、結局、照子さんが丸一日休めるのは日曜日だけだ。2人の年齢は70歳を超え、「もう少しペースを緩やかにしながら、無理なく働きたい」との思いから、今後は喫茶店主体の店に切り替えていくことを考えているという。「店を続けていてよかったなと思うのは何より、近所の人たちをはじめ仲良くお話しできる人が増え、人の輪が広がったこと」だと2人は口をそろえる。そのための集いのスペースとして喫茶店を開き、パンも喫茶店のメニューとして出す分だけを作ることで、照子さんの体にかかる負担を少なくしようと考えている。「骨董品もまだまだ家の倉庫に眠っています。これは何とか売り切っていかないと、子どもたちに迷惑がかかるから」と語る龍一さん。決して無理はせず、2人で一生現役を貫くつもりだ。やすだ屋骨董品コーナーは昭和の香りが漂う29人気の食パンに加えて惣菜パンも種類が豊富だ事業内容/パンの製造・販売・骨董店〒510-1251三重県三重郡菰野町千草3929-3TEL/FAX: 059-394-7358やすだ屋パン店 https://t-yasudaya.jugem.jp/やすだ屋生活骨董店 https://r-yasudaya.jugem.jp/警察官の経歴を持つ龍一さん
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