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夫婦それぞれの趣味を商いに。人生第2章隠居するより人生を楽しみたい天然酵母、国産小麦粉などこだわりのパンが評判に「古いものを手に取ると心が癒される鈴鹿山脈を代表する名峰、御在所岳を望む地に「やすだ屋」はある。店に入ると、まず昭和の懐かしい看板が目に飛び込んでくるが、店の入り口近くにはたくさんのパンが並んでいる、不思議な空間だ。「うちはパン屋でもあり、骨董屋でもあるんです」と笑顔で出迎えてくれたのが、安田龍一さん、照子さん夫婦だ。龍一さんは高校卒業後「いつかは自分で事業をしたい」と自動車整備士の資格を取得し、修業のつもりで自動車販売店に就職した。照子さんと出会い、結婚を考えるようになると、生活を安定させることが第一と考えるようになり、三重県警に転職した。結婚後は2人の子どもに恵まれた。子どもが大きくなると、2人で骨董市に出かけることが多くなり、そこで陶器などを買い集めるようになった。んです。そば猪ちこ口などは歴史を調べ始めると奥が深く、その豊かな歴史を知るとまた欲しくなって」と龍一さんはその魅力を語る。気が付けば家に入りきらないほどにまで増えていた。定年が近づくにつれ、龍一さんには、若いころに抱いていた「いつかは自分で事業を」という思いがふつふつと湧き起こり、骨董店を開く夢を温めていた。だが、照子さんを納得させる必要がある。「退職金を切り崩しながら隠居生活を送るような人生よりも、一生現役で人生を楽しみたい」という思いをぶつけた。そして名案が浮かんだ。照子さんのパン作りの趣味を生かす場にすればよいと考え、提案したのだ。「好きでやるのと商売とは違うから」と最初は不安を隠せないでいた照子さんだったが、店を開く前に、1年間パン教室に通うことを決める。そして、龍一さんの退職金の一部で自宅隣接地に土地を確保して店舗を新築、2012年にまずパン屋さんとして「やすだ屋」をオープンした。そして、退職後も警察の仕事を続けていた龍一さんも4年照子さんの趣味が高じて商売に28ょやすだ屋(パン店、骨董店)代表 安田 龍一さん、 照子さん東京四日市

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