Plusone639
20/36

アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う湿疹を引き起こし、増悪と軽快を繰り返す慢性的な皮膚疾患です。家系にアレルギーがある場合に発症しやすいと言われていますが、遺伝的背景がない方でもアトピー性皮膚炎になることがあります。一般的に、アトピー性皮膚炎は低年齢で発症すると成長とともに改善するケースが多く見られますが、炎症が進行した場合や成人以降に発症した場合は症状が続くこともあります。アトピー性皮膚炎の方の肌は通常、バリア機能の低下が見られます。バリア機能が破綻した皮膚は水分を十分に保持することができず乾燥し、刺激に敏感になることから、内外からの刺激が炎症を引き起こします。そのため、基本的には保湿ケアをすることで肌の機能を補助することや、環境を清潔に保ち、外部刺激から肌を守ることが重要です。最近はドラッグストアでさまざまな保湿剤を手に入れることができるため、自分の肌に合う保湿剤を見つけましょう。空気が乾燥する秋冬生まれの子どもは、春夏生まれよりもアトピー性皮膚炎の発症率が高いことも知られています。保湿はアトピー性皮膚炎の予防法としても有効です。バリア機能が低下した肌は刺激を受けやすく、さまざまな要因によって炎症が進行します。かゆみによるかき壊しはバリア機能の低下を助長し、炎症を悪化させる悪循環に陥る可能性があります。汗や温熱刺激、食べ物、タバコの煙などの物理的刺激や、疲労や精神的ストレスなどの内因性の要因によってもかゆみが増大することがあります。アトピー性皮膚炎の治療は主にステロイド製剤の外用が一般的であり、炎症の迅速な抑制が重要です。塗り薬によって見た目の皮膚状態がよくなったとしても、皮膚の中には弱い炎症が必ず残っているのが厄介なところ。そこで治療を止めてしまうと炎症がぶり返してしまうため、ステロイド製剤による継続的な治療が必要です。ステロイド製剤と聞くと副作用を心配される声もありますが、適切な塗り薬を適切な期間使用する分にはさほど心配はいりません。内服薬としてのステロイド製剤は長期使用による副作用が懸念されるため、基本的には医師の指導のもと、短期間服用します。アトピー性皮膚炎の治療は個々の症状や状態によって異なりますので、必ず専門の医師に相談し、適切な治療法を見つけることが大切です。アレルギー疾患療養指導士や小児アレルギーエデュケーターなどによる薬の評価や指導をしてくれる資格保持者在籍のクリニックを選ぶこともおすすめです。正しい治療によって症状の軽減だけでなく、生活の質の向上を目指しましょう。皮膚トラブルは誰もが経験しますが、広く知られている皮膚疾患の一つに「アトピー性皮膚炎」があります。かゆみが慢性的に続くため、集中力の低下や睡眠障害など日常生活に支障をきたすこともあります。医師とよく相談し、適切な治療を継続することでかゆみをコントロールすることが重要です。アトピー性皮膚炎の治療法第17回アトピー性皮膚炎アトピー性皮膚炎とはアトピー性皮膚炎の特徴と保湿の重要性炎症の悪化とかゆみの悪循環20青山アレルギークリニック(東京都港区)健健康康相相談談室室増田 敬先生継続的な治療と継続的な治療と     保湿ケアが重要です     保湿ケアが重要です

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る