PlusOne638
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社会の動きにも常に目を向けながら転を考えるようになった。だが、大村に愛着を持つ父親は猛反発したという。「結局、父の思いを尊重し、父が他界した後に店探しを再び始めました」。先代が残してくれた資産を大切に受け継ぎながらも、独自色を打ち出すことにしたという山口さん。移転に合わせてレパートリーを絞り込み、現在は毎日9種類のパフェの中から選べるようにし、定期的に入れ替えている。また、フードメニューについても以前は70種類ほどあったものを、最も人気のあったグラタンに絞って日替わりで提供している。「メニューを減らしたことで在庫のロスを減らすことができた分、すべての素材に最高級のものを使っています」。たとえば、ジェラートは水や牛乳を混ぜることなく果汁100%で仕込んでいる。また、ソフトクリームは旨味とコクを出すために、通常は脱脂粉乳を加えて乳脂肪分を上げているが、「脱脂粉乳は冷凍するとシャリシャリしてコクが失われてしまいます。ふつうは砂糖を増やしてそれをごまかそうとするのですが、私はそれをしたくないので、砂糖や脱脂粉乳に頼らずにコクを出す方法を15年かけて編み出しました」。そのソフトクリームには1㎏2万7千円もするバニラエキスを使い、味わいと香りを引き立たせ、砂糖は通常に比べ70%カットしている。チョコレートもカカオ豆から手作りで仕込む。ソフトクリームやジェラートなどはすべて山口さん自身が自宅で製造しており、着色料や保存料などの添加物も一切使用していない。「砂糖もできれば使いたくないのですが、それでは美味しさを失います。美味しさと健康を両立させるバランスを追求しています」。店が休みの日は自宅で製造にいそしむためほとんど休みがないと苦笑しながらも、「お客様に美味しいと言っていただいたときは疲れもすべて吹き飛びます」と充実感を漂わせる。ソイやココナッツを使ったアイスクリームをはじめ、動物性の原材料を一切使わない「ヴィーガンパフェ」をメニューに加えているほか、焼き畑農業で荒れたブラジルの農地の森林を回復するために栽培された果樹もジェラートに使用している。常に最高級にこだわり、社会の動きにもアンテナを張りながらメニュー開発にいそしんできた山口さん。今後は自身で開発したこだわりの品をより広く普及させたいとの思いから「ソフトクリームを委託販売するなどして全国展開も考えていきたい」と意気込んでいる。パフェとグラタン専門店 ハワイ Instagramはこちら原材料にこだわったパフェ29厳選した豆を使って淹れるコーヒー事業内容/飲食業〒850-0862長崎県長崎市出島町10-16マンション出島の木1FTel:095-895-7102https://parfait-restaurant-hawaii.foodre.jpメニューに込められた自分の想いを店頭で紹介

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