常に最高の素材を追い求める「日本のパフェ発祥の店」大村から日本中に広がったパフェ長崎・出島に移転、メニューにこだわり抜くょうしゃパフェとグラタン専門店「ハワイ」は、長崎市内でも屈指の観光エリア、国指定史跡の出島地区に立地する。店の窓からは旧出島神学校の瀟し洒な建物を望むことができ、取材中も観光客が引きも切らずに来店していた。店の外に立つのぼりには「昭和三十三年創業 日本のパフェ発祥の店」と書かれている。「ハワイ」の創業者は、オーナーの山口哲弘さんの父で、県央の大村市でジャズ喫茶、ダンスホール、ケーキ店などを手広く営んでいた。「海外旅行が大好きで、1ドル360円の時代にアフリカまで行くような人でした。その父がアメリカを訪れたときに知った、アイスクリームにフルーツを載せるサンデーをヒントにメニューを考案し、アイスクリームの上にフルーツだけでなく、お店で出していたゼリーやプリン、ケーキなども載せるようになりました。すぐにアレンジの数が30種類くらいに増えたそうです」と、新メニュー誕生の経緯を語る。先代は、当時は珍しかったソフトクリーム製造機を店に置いて、ソフトクリームを使ったさまざまなメニューを考案してはレシピにしていたとのこと。「ソフトクリームの機械屋さんもまだレシピを持っていなかったため、機械を売る際に父の作ったレシピをセットにして紹介したことで全国に広がっていったようです。広まってから、誰かしらが“パフェ”という名前で呼ぶようになり、一般化しました。だからパフェは日本特有のスイーツなんですよ」。学校から帰るとすぐに自宅を兼ねていた店を手伝っていたという山口さん。学校卒業後いったんは一般企業に就職したものの、先代が守り育てた店を継承していきたいとの思いから家業に戻った。新しい物好きの先代が年々パフェの新メニューを考案するうちにその数は約500種類にまで増えていたという。だが、喫茶店文化が以前のような輝きを失い、次第に客数は減っていった。このまま座して待つわけにはいかないと考えた山口さん。わざわざ長崎市内から来店してくれる常連客が多いこと、さらには新たに観光客の需要を取り込もうと、長崎市への移店頭に立つのぼり28パフェとグラタン専門店 ハワイオーナー 山口 哲弘さん東京長崎
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