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年齢を重ねるごとに訪れるさまざまな不調の一つに、「白内障」があります。症状に個人差はあるものの、加齢に伴い、いつかは必ず訪れる眼の病気です。改善には手術による治療が第一選択肢。場合によっては家族のサポートが必要になることもあります。自分に適した治療方針を医師とよく相談しましょう。作業が多い患者さんは早期に治療する場合もあります。医師とよく相談して治療方針を決めましょう。白内障の治療法は点眼と手術があり、点眼は水晶体タンパク変性の進行を抑制しますが、症状を改善することはできません。手術は眼球に2mmほどの小さな切開を入れ、濁った水晶体を取り出して綺麗にした後に人工レンズを挿入します。熟練した術者が行えば非常に安全な手術であるため日帰りで受けることも可能ですが、眼は感染症を引き起こしやすいことから、手術前後の数か月は点眼薬の使用を徹底する必要があります。高齢で認知症を伴う患者さんや、その他のさまざまな要第16回白内障f Life眼の水晶体は本来透明ですが、主に加齢によって水晶体タンパクが変性し濁ったり固くなったりすると、眼に入る光量が減少し、かすみやまぶしさ、視力低下などを引き起こす「白内障」になります。発症年齢や進行速度には個人差がありますが、白髪と同じように加齢によって誰もが起こり得る障害です。80代ではほぼ100%の人が白内障と言われており、早期では40代で発症する人も。またステロイドなどの薬剤による影響やホルモン異常といった内分泌系の疾患などにより併発される場合は、若年で発症することもあります。紫外線が白内障を進行させることも知られてはいますが、一般的な生活をする上では過度に心配する必要はありません。放置すると症状は進行し、水晶体が石のように固くなってしまうと失明に至ります。また水晶体を包む袋である「水晶体たう嚢」が溶けたり破れたりすると、内容物が漏れ出すことで緑内障の要因となる他、炎症によるぶどう膜炎を引き起こすこともあり、これらの症状が見られた場合は緊急手術が必要となります。多くの場合症状は徐々に進行するため、治療の必要性は一人ひとりの生活スタイルによって異なります。例えば、運転をよくする方であれば眼のかすみは問題になりますし、後述のように手術後に視力が回復することで眼鏡が不要になることもあるため、現場いの因で点眼管理が難しい患者さんは家族など周囲のサポートが大変重要です。療養かで大きく異なります。日本では保険適用で治療されることがほとんど。挿入レンズが「単焦点レンズ」となるため、近視か遠視のどちらかを矯正することはできますが、他方のための眼鏡が必需品に。一方で選定療養の場合は「多焦点レンズ」を使用することができるため、近距離・遠距離どちらも眼鏡なしで見えるようになります。高額ではありますがQOL(質)の向上につながるため、予算とライフスタイルに合わせて医師とよく相談をして決めましょう。手術の費用は保険適用か選定:生活のQuality O日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)20健健康康相相談談室室堀 純子 先生要因は誰にでも起こる「加齢」。要因は誰にでも起こる「加齢」。

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