人体は体重の60%が水分。そのうち、細胞内に40%、細胞間質にすると言われています。血管は血液を全身に届けることで、栄養素や老廃物、熱や水分を運搬しています。その血管に付随して存在しているのが「リンパ管」。リンパ管内は「リンパ液」で満たされており、血管で回収しきれなかった余分な水分やタンパク質を回収しています。それらが身体の各所にある「リンパ節」に入り込むと、老廃物や異物などはろ過され、最終的には静脈に合流します。リンパ管は身体の老廃物を運び出すために重要な役割をしています。血液は心臓がポンプの役割を果たすことによって身体を循環していますが、リンパ管には心臓のようなポンプがありません。代わりに、動脈の拍動、呼吸運動、筋肉の収縮がリンパ液の流れを助けています。そのため、血行不良や筋肉の凝りなどが起こるとリンパの流れが滞りやすくなり、水分がうまく排出されず、老廃物が溜まってしまいます。これが「むくみ」の正体です。運動は血行を促進するだけでなく筋肉収縮も伴うため、リンパの流れを促進するのに大変有効です。運動が苦手な方はウォーキングでもOK。長時間同じ姿勢が続くデスクワークはリンパ液の流れが滞りやすくなるため、1時間に1回は起立して歩くようにしましょう。マッサージはダイレクトにリンパ液を押し流すことができます。基本的には身体の外側から内側へ、図のようにリンパ節へ向かって押し流すようにしましょう。は、リンパ節をほぐすだけでも効果的。まずは脇の下の腋窩リンパ節、足の付根にある鼠径リンパ節などの大きなリンパ節を指で押しほぐしましょう。サージも効果的ですが、力が強すぎると摩擦が皮膚へのダメージに。顔に直接触れなくても、耳の付け根から鎖骨にかけてつながっている「胸鎖乳突筋」をほぐしたりマッサージしたりするだけでも顔のむくみに効果的です。皮膚に直接触れない顔ヨガもおすすめです。余分な水分がたまり、むくみの原因になります。塩味を控え、出汁やポン酢などで味付けをすると塩分摂取を抑えることができます。感神経を刺激し、血管の収縮を引き起こし、むくみの原因となります。就寝前に38〜40度の湯船に浸かると、血行が促進される上に副交感神経優位となり、眠りが深くなり、ストレスケアにもなります。ストレスを管理し、適切な睡眠を確保することもむくみ対策の一環です。身の巡りをよくすることで、むくみだけでなく疲れも取って、毎日を健やかに過ごしましょう。時間がないときや疲れているとき顔のむくみが気になる方は顔のマッ高塩分の食事を摂ると、体内に睡眠不足や過度なストレスは交むくみは身体のヘルプサイン。全① 運動② マッサージ③ 食事④ 睡眠老廃物の排出に重要な「リンパ」の役割「むくみ」の正体は「リンパ」の滞りおすすめのリンパケア第7回「むくみの原因と解消法」そけいえきかしっかこうけいこつ15%、血管内に5%の比率で存在19耳下腺リンパ節鎖骨リンパ節肘リンパ節乳び槽(腹部リンパ節)鼠径リンパ節PROFILE一般社団法人美容科学ラボ代表理事。物質工学修士。専門学校講師やオンラインサロン運営、美容メディア監修、SNS発信を通じて「科学的根拠のある正しい美容知識」の普及活動に努める。MAQUIA(集英社)、an・an(マガジンハウス)、『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)などメディアに多数出演。腋窩リンパ節膝窩リンパ節後脛骨リンパ節なんとなく脚がだるかったり、朝起きると輪郭がぼんやりしていたりすることはありませんか。その要因は「むくみ」かもしれません。むくみは、何らかの原因で皮膚やその下に余分な水分が溜まっている状態を指します。今回は、日常的にできるむくみの解消法についてご紹介をしていきます。理系美容家 かおり
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