PlusOne636号で、認 ており、1990年は54歳でしたが、知症による財産凍結を回避するための「家族信託」についてお話ししましたが、今号では、経営者が認知症になった時に起きる会社の機能不全を防ぐための「自社株承継信託」について解説します。「家族信託」と「自社株承継信託」はクルマの両輪。今回も、信託を活用した認知症対策がご専門の司法書士・池内宏征氏にお話を伺いました。日本の社長の平均年齢は年々上がっ2021年には60歳に達しました。また、日本人の「平均寿命」も伸び続け、現在、男性81・6歳、女性87・7歳。それに比べて「健康寿命」は30年前と比べてあまり伸びておらず、体は長く生きても、健康を保つのが難しい期間は男性約9年間、女性約12年間に伸びてい① 株主としての議決権が行使でき② 代表取締役としての経営権が行なくなる使できなくなるます(図1)。これはその分、認知症が進みやすい期間も長くなっていることを意味しており、高齢の社長が認知症になるリスクも年々高まっていると言えます。中小企業のオーナー社長も高齢化が進んでおり、いずれは後継者に事業を譲りたいと思っている経営者も多いはず。もちろん、後継者がいて株と代表権を譲渡できれば問題ないのですが、株価が上がってしまった会社の場合、株を譲渡するには贈与税が高すぎてできない、三代猶予などの特例もあてはまらないといったケースが多く見受けられます。このように後継者はいても、現状では打つ手がないという経営者は少なくないのです。中小企業のオーナー社長の多くは、大株主と代表取締役の2つの役割を担っています。そんな中で、もし大株主である社長が認知症になってしまったら、何が起きるのでしょうか?大きくは、次の2つです。①は大株主としてのリスク。認知症になってしまったら、株主総会の決議ができなくなるので、会社の根幹に関わるすべての事項決定が凍結されることを意味します。②は社長としてのリスク。取締役が認知症になって成年後見制度を使うようになると資格喪失になってしまい、取締役を退任しなければならず、事業計画が頓挫するなど会社が機能不全に陥ってしまいます。ではこのような事態を避けるにはどうすればよいのでしょう?まず、株式の所有権とは何かを考えてみます。株式が持つ権限の内訳を見ると、図2のような2つの権限に分けられます。1つは「会社支配権」、つまり議決権を行使する権限です。もう1つは「財産権」、つまり配当を受ける権利などです。この中で、オーナー社長が認知症になった場合に起きる大きな問題は、会社支配権が凍結状態になってしまい、経営者の認知症による会社の機能不全を回避する元気な今のうちに「自社株承継信託」を活用しよう(日常生活に制限のない期間)平均寿命健康寿命男性女性自社株承継信託図1 平均寿命と健康寿命の差12(歳)2019年時点での平均寿命と健康寿命の差は男性8.73歳 女性12.07歳60657075808.73年12.07年81.41歳72.68歳87.45歳75.38歳8590事事業業をを承承継継ししたたいいがが株株価価がが高高すすぎぎてて贈贈与与がが困困難難!?!?認認知知症症リリススクク平平均均寿寿命命のの伸伸びびでで高高ままるるななっったたらら会会社社ははどどううななるる??株株式式ににはは22つつのの権権限限ががああるる何何ももししなないいまままま認認知知症症ににNEWS 02
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