理念を作り、浸透させる工夫かだと思います。どのようなリーダーシップ像を描かれていますか。から来るとなるとまたリーダーシップ像も変わってくると思います。私の場合、理由をしっかりと伝えて納得してもらわなければ、同じ方向に進んでいくことはできないと考えています。そのためには、その根本となるぶれない理念をしっかり浸透させることが大切です。当社では合併した際に、理念を改めて明確にしました。橘 ださい。ると申しましたが、新宿文明堂は、その3社中売上規模で2番目でした。私が入社する前から、1番売上規模の大きい日本橋文明堂と経営統合することは既定路線だったのですが、トップが体調を崩したこともあり、話が進んでいませんでした。幸いなことに私は三菱電機時代に日立製作所との半導体部門統合プロジェクトに従事し、合併のプロセスを理解していたので、一気に前に進めることができました。さら宮﨑 宮﨑 創業者と承継者、その中でも外部その合併の経緯についてお聞かせく先ほど東京には3つの文明堂があに3番目に大きい銀座文明堂についても、東日本大震災で工場が被災した際に当社が一部商品供給で協力したことが契機となり、合併へと話が進んでいきました。同族の子どもが経営者だった場合、過去の経緯にとらわれることがあるかもしれませんが、私は過去に縛られることなく未来のことだけを見ていたので、婿の立場はその点ではよかったのかもしれません。橘 ティグレも今年の10月に、全国にある3つの税理士法人が、業務標準化で効率を上げられるように一つに統合しました。それぞれ成り立ちも文化も異なる中で、一緒になることの難しさも感じていたところです。経営統合の際には共通の理念を共有することが大事だと先ほどお話しされましたが、どのように進めていったのでしょうか。幸いなことに、新宿文明堂と日本橋文明堂の理念は本質的には同じ内容だったので、そこから「人々の幸福の追求」という言葉がすんなり出てきました。会社の文化は突き詰めると判断基準だと思っているので、その判断基準としての理念をしっかり明確にし、それを言い続けること宮﨑 が大事だと考えています。社員に伝えやすくするために、「幸福とは、身近な人との良質な人間関係を構築すること」だと定義づけました。また、幸福を作り上げる要素として「社員が人として成長すること」と「適正な利益を上げること」の2つを明示しました。さらにその中に書かれた「成長」はどうすれば実現できるかを考え、例えばその一つとして「多能化」を挙げ、それを可能にするためにはさまざまな部署を経験するための「定期異動」が必要だというように、「人々の幸福の追求」を5つの階層で具体 6的に落とし込みました。5段階目に当たる具体的な施策は80に及びます。私たちはこれを「レイヤーツリー」と呼んでいます。こうすることで、すべての施策を納得してもらいながら伝えることができます。併せて人事評価制度もレイヤーツリーの施策に沿った個人目標を立ててもらい、また、それを上司がどうサポートするかというところも評価に加えることで、理念の浸透と結び付けています。大阪府松原市出身、1979年に中企連(現ティグレ)松原事務所に入社後、業務部長や大阪の堺支店長を経て、2015年に取締役就任。2017年からティグレグループ代表として、ダイバーシティ経営を軸に、人材育成と人財活用の組織再編を行い、多様なキャリアプランの育成システムの整備で業績及び雇用を拡大。また、ICT 推進による事業の効率化の達成ならびに生産性の向上に取り組む。橘 悦二 (たちばな えつじ)ティグレグループ 代表DIALOGUE
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