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「ただカーネーションは燃料費がか仏花として使われ、近年はドライフラワーやフラワーアレンジメント向けにも用途が広がっているスターチス。和歌山県中部に位置する印南町と隣接する御坊市は国内の9割以上のシェアを占めるスターチスの産地だ。そのなかでも山本茂春さんはで30万株を生産し、印南町で有数の生産規模を誇る。山本さんは東京農業大学短期大学部を卒業後、実家の農業に就いた。当時はハウス栽培と露地栽培が半分ずつで、露地では主にウスイエンドウやキヌサヤエンドウをはじめとするエンドウマメを、ハウスではカスミソウを生産。農閑期に当たる10月から3月にかけてはイセエビやヒラメの漁に出る農漁業の兼業農家だった。実家に戻った山本さんは、同世代の若手就農者がカーネーションの栽培に注力し始めていることを知り、新たにカーネーションの栽培に挑んだ。かるので労力の割に採算が悪く1年でやめることにし、2年目からスターチスに挑戦しました」。もともとスターチスは高知県が主産地だったが徐々に廃れ、1970年代ごろから、同じく気候が温暖な和歌山県で導入が進みつつあった。スターチスは冬の寒さにも強く、生産に手間がかからない。しかも冬場になると開花した花が1カ月ほど持つため流通を調整しやすいというメリットもあることがわかり、エンドウマメに代えて少しずつ生産面積を増やしていくことになる。それにつれて、漁業に出ることもなくなっていった。転機は27歳の時に訪れた。山本さんの父親が引退宣言をし、農家経営の一切を任されることになったのだ。「従業員にちゃんと給料を払えるだろうか、これだけの面積の農作物を管理できるだろうかと考えると不安で重圧はありましたが、自分がやりたいことに思い切って設備投資する温暖な気候を生かし漁業と兼業していた時期も穏やかな口調でスターチスへの思いを語る2813のビニールハウス(各1000㎡)27歳で経営を任される花き農家山本 茂春さん東京和歌山30万株のスターチスを生産

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