委任者が亡くなった時に必要となるさまざまな事務処理を司法書士法人が代行します。(図2参照)「死後事務委任契約」は、全ての人に必要なものではありませんが、身寄りのない方や親族と疎遠になっているお一人様にとっては、本当に必要なものだと思います。前号では認知症に備える「家族信託」についてお話ししましたが、託せる家族がいないお一人様には「任意後見契約」という制度があります。これはご自身が認知症になった時に財産管理をしてくれる「任意後見人」を前もって指定しておく契約です。「任意後見契約」の場合、「家族信託」と異なり、家庭裁判所の監督下におかれますが、認知症になっても自分の財産をきちんと管理してもらえるという点で大切なものです。また、お一人様で法定相続人がいない場合、残された財産は国庫へ行ってしまうことになるので、社会に貢献しているNPOなどへ遺贈寄付したいという方も増えています。もし特定の遺贈先が決まっていなければ、ご希望の分野の寄付先を探してくれる法人などに遺贈を任せる遺言書を残しておくとよいでしょう。私どものような司法書士法人であれば、「死後事務委任契約」「任意後見契約」「遺言書」を準備して、将来必要となるさまざまな手続きを一括して依頼することができます。もちろん、将来に備えるこうした契約や書面は機微に触れる内容であるため、私どもでは依頼者と月1回程度打ち合わせをしながらご意向を丁寧に伺い、課題を共有し、半年くらいじっくりと時間をかけて納得のいく準備をしていきます。ご自分の数十年に及ぶ人生の最後をきちんと締めくくることは誰にとっても意義のあることですが、とくに死後の手続きを託せる人がいないお一人様の場合、その備えを万全にしておくことはとても大切なことだと思います。司法書士法人 リーガルエスコート代表司法書士・家族信託専門士池内 宏征判断能力が低下・喪失する前に、財産管理や相続などに関する幅広い提案を行うことを専門とし、不動産オーナーや中小企業経営者の事業承継にも多くの実績がある。また、家族信託や相続対策のセミナー・講演活動も年60回ほど行うなど、生前および相続発生後の対応に日々取り組んでいる。ティグレニュース11 入院前・入院中の事前調整 死亡・危篤の連絡を受けた際の病院への駆け付け 遺体搬送の手配 死亡診断書の受領 遺体の搬送、葬儀社との打ち合わせ 病室内の私物引き取り 死亡届の提出、火葬許可申請 葬儀、火葬への参列 国民健康保険証・後期高齢者医療保険証、介護保険証などの返却 個人番号(マイナンバー)カード・個人番号通知カード、住民基本台帳カード・印鑑登録証の返却 運転免許証・パスポートなどの返却 年金事務所への届出 固定資産税、住民税、自動車税(軽自動車税)の納付、納税管理人の届出 (会社員の場合)勤務先への退職手続き 介護施設や病院への支払い (自宅が賃貸住宅の場合)賃貸借契約の解約手続き、部屋の 明け渡しと鍵の返却、家賃の清算、敷金及び原状回復費の清算 各種料金(電気、ガス、水道、インターネット接続サービス、新聞・雑誌などの定期購読、クレジットカードなど)の解約 ウェブサービスに登録しているアカウントの消去 (生前には保管場所だけ受任者に伝えておくことが好ましい)図2 死後事務委任契約で受任者に依頼できる手続き死亡前後の実施項目行政機関への手続きその他の各種手続きももにに備備ええてておおけけばばベベスストト任任意意後後見見契契約約、、遺遺言言書書ととととTIGRE NEWS
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