生涯独身者や離婚者などの増加に伴い、「お一人様」と呼ばれる人たちが増えています。以前は、自分の死後のことまでは考えていないという人も多かったのですが、最近では「死んだ後、人様に迷惑をかけたくない」と、亡くなった後の事務手続きを第三者に代行してもらう「死後事務委任契約」を結ぶ人が増えています。そこで前号に引き続き生前相続対策がご専門の司法書士・池内宏征氏にお話を伺いました。ひと言でお一人様と言っても、未婚の方、結婚はしたが配偶者と離婚や死別をされた方、親兄弟を亡くされた方、親戚と疎遠になっている方など、いろいろなケースがあります。こうしたお一人様の数は年々増加傾向にあり、それに伴って、ご自身が亡くなった後に発生するさまざまな手続きを前もって第三者に依頼しておく「死後事務委任契約」に関心を持つ方も増えています。この契約は、委任者が亡くなった後に必要となる事務手続きや支払い金の清算などを受任者が代わって実行するというもの。「立つ鳥跡を濁さず」のことわざ通り、死後に必要となるさまざまな手続きについて、元気なうちに備えておくことができる契約なのです。「親族がいない場合、役所は死後に必要となる遺品整理をしてくれますか?」という質問をよく受けます。答えはNOです。自治体によっても異なりますが、法律に基づいてやってくれることは火葬と合葬墓への埋葬くらい。死後の事務手続きや遺品整理などは残された親族が行うことが前提となっており、役所は故人が住んでいた賃貸住宅や高齢者施設の残置物処分などはしてくれませんから、事前に対策をしていないお一人様は関係者に多大な迷惑をかけることになります。(図1参照)それでは、遺言書で死後の事務手続きを誰かに頼むことはできるのでしょうか? これもNOです。遺言書とは生前に「自分の財産を、誰に、どれだけ残すか」についての意思表示を公式な書面に記したものであり、それは相続に関する事項に限られます。したがって、賃貸住宅の明け渡しや各種契約・サービスの解除など、財産以外の手続きについては、遺言書に法的な効力はないのです。また、生前に葬儀社や霊園などと契約し、亡くなった後に備えているお一人様も見られますが、これは各事業者との個別契約であり、死後必要となるたくさんの手続きを一括して行ってくれるものではありません。そこでお勧めしたいのが「死後事務委任契約」です。例えば司法書士法人と「死後事務委任契約」を結んだ場合、ご自身が亡くなった後の事務手続きを第三者に依頼お一人様のための「死後事務委任契約」 死後事務委任契約10図1 役所は遺品整理をやってくれないという事実よくある質問亡くなった直後の手続きに関して各自治体がやってくれることは、墓地埋葬法第9条第1項に基づき、自治体ごとのルールに従って火葬を行い提携する寺院の合葬墓などに納骨を行うだけというケースがほとんど。部屋の片づけなどは自治体はしてくれない。亡くなった後の準備は自分でしておかないと不動産会社や管理会社の方に迷惑がかかってしまう。増増ええ続続けけるるおお一一人人様様亡亡くくななっったた後後のの手手続続ききはは??遺遺品品整整理理ををししててははくくれれなないい役役所所はは死死後後のの事事務務処処理理ややかかなないい先先をを意意思思表表示示すするる効効力力しし遺遺言言書書はは財財産産のの引引きき継継ぎぎNEWS 02「親族がいない場合に役所が遺品整理をやってくれるのですか?
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