中小企業の経営環境は、令和5年に入って「物価高騰」「人手不足」に拍車がかかり、決して容易な環境ではない中で、大企業を中心に賃金引上げが報道され、労働者のマインドも大きく変化してきたと思います。このような時代に中小企業が取り組むことができる要素として「働きやすさ」があり、「働き甲斐」と「自己成長の実現」を提供できる企業であることを労働者にアピールすることが必要かと思います。また、高年齢者雇用に取り組むことも労働者の安心感につながると考えます。今回は、高年齢者雇用に関するポイントを整理するとともに、年金制度のお話をさせていただきます。高年齢者雇用に関する法令は「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」で定められており、実務に直接影響するものとして「高年齢者雇用確保措置」が挙げられます。また、スライド①に示した高齢者の特性に合わせた労務管理が必要となります。現在の法令では、60歳を下回る定年を設けることはできません。また、高年齢者雇用確保措置により、原則として「希望者全員」を65歳まで雇用維持する必要があります。令和3年4月1日からはスライド②に示した措置のいずれかを講じる努力義務が課せられています。一方で現状は、会社のルールは法令通りだが実際には65歳以上の労働者が複数人いるのではないでしょうか?就業規則や雇用契約については、「実際の運用に合わせる」ことが大切です。就業規則では定年を60歳、高年齢者雇用から 会社を守る文◎ 江口俊彦(特定社会保険労務士)高年齢者雇用のポイント高年齢者雇用確保措置について 1222① 高年齢者雇用確保措置への対応⇒会社として対応できる現実的な方法を選択し、就業規則に記載する必要があります。② 社会保険に加入する高年齢者の在職老齢年金⇒令和4年4月以降、64歳までと65歳以降の在職老齢年金制度が統一されました。③ 高年齢雇用継続基本給付金等の廃止⇒令和7年4月以降、現行制度より給付率が減少(15%→10%)し、令和12年以降は廃止されます。④ 労災防止のための安全配慮義務の履行⇒打撲やねん挫でとどまるケガが骨折になるなど、重症化しやすいという特徴があります。安全配慮義務の観点から、労災防止対策を行っていくことが重要です。⑤ 高齢労働者本人の健康状態等の確認と就労意思との調整⇒車の運転など、本人が就労を希望しても家族はやめてほしいというケースもあります。65歳以降の再雇用などでは、ご家族も一緒に面談し、労働者本人の健康面を確認することも1つの方法になります。65歳までの雇用確保は義務であるが、これに加え65歳から70歳までの就業機会を確保するため、次のいずれかの措置を講ずる努力義務が令和3年4月1日から設けられました。① 70歳までの定年引き上げ② 定年制度の廃止③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度または勤務延長制度)の導入④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入⑤ 70歳まで継続的に「事業主自らが実施する社会貢献事業」か「事業主が出資等する団体が行う社会貢献事業」に従事する制度の導入スライド 1スライド 2Vol.業務支援高年齢者雇用のポイント高年齢者雇用確保措置会社の守り方
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