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ロシア・ウクライナ戦争の長期化が招くリスク 6今年気になる一番大きな問題は、ロシアとウクライナの動向です。この戦争は長期化するでしょう。国際情勢の混乱が長引くと、私たちの暮らしにも影響が出てきます。特に食料とエネルギーです。日本の食料自給率は38%です。食料の国産化を進めるためには農林水産業の振興を図らなければなりません。エネルギーの国産化を進め、再生可能エネルギーの使用を増やすことは化石燃料の使用の削減、脱炭素にもつながります。ウランを使うものの、原発は準国産エネルギーの位置づけであり、これをどうしていくかも考えなければなりません。もう一つ大きな関心事は物価の上昇です。各国ともコロナ対策で財政出動したことにより市中にお金が流れました。するとお金の価値は低くなり、モノの値段が上がります。さらに追い打ちをかけているのが円安で、要因の一つは日本の低金利です。アメリカや欧州の金融当局は物価上昇を抑えるために金利を上げましたが、日銀だけが景気後退をおそれて低金利のまま据え置いています。関西学院大学教授 村尾信尚 氏2023年の大蔵省(現財務省)に勤めていた時代に、納税者の立場からマニフェストを提案する市民団体を立ち上げるなど常に納税者、有権者、消費者の視点を大切にしてきた村尾氏。「2023年の政治・経済の展望」をテーマにした講演では、「アベノミクスは失敗」と述べ、日本の経済を成長に導くには「アニマルスピリッツ」を呼び覚ますことこそが重要だと強調しました。2023年新春の集い 特別講演政治・経済の展望

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