Plusone633
24/36

2023年4月1日より、労働に関する法律改正が行われます。今回の法改正のうち、労務管理において重要な法改正は前号でお話した60時間超の時間外労働割増賃金に対する割増率増加ですが、今回はその他の法律改正に関してお話しさせていただきます。2023年4月の改正は、大きく3つになります。1つ目は前述の割増賃金に対する割増率の増加です。2つ目はデジタルマネーでの給与支払いが可能になることで、3つ目が育児休業取得率の公表義務化です(スライド1)。これらは労働基準法と育児・介護休業法の改正となります。とくに労働基準法は強行法規であり、罰則も設けられた法律ですから、的確な対応が求められます。払い5原則(スライド2)により「現金」か「口座振込」により支払うこととなっていますが、2023年4月からは「デジタルマネー(電子マネー)」での支払いも可能となります。ただし、デジタルマネーでの支払いについては労働者本人の同意が必要であり、会社側が一方的に変更することはできません。また、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者のうち、どの資金移動業者を利用するのか労使協定で締結する必要もあります。動業者は厚生労働大臣の指定申請を行えることとなりますので、実際に労使協定を締結し、デジタルマネーでの支払いを開始できる現在の労働基準法では、賃金支令和5年4月1日から、資金移2023年度法改正から会社を守る文◎ 江口俊彦(特定社会保険労務士)法改正の内容デジタルマネーでの給与支払いについて 1124原則は現金払い。例外として、労働者の同意があれば口座振込も可原則として労働者本人に支払うことが必要全額を支払うということ。法律で定められた税金等を控除することは可毎月1回以上での支払いが必要。2か月分をまとめて払うのは不可毎月第4金曜日払いというのは不可。毎月〇日払いとするのが必要スライド 1スライド 2① 60時間超の時間外労働に対する割増賃金の割増率を、25%以上から50%以上に変更することが義務化されます。(労働基準法の改正)② 厚生労働大臣が指定する資金移動業者(例えば、PayPayなどのキャッシュレス決済事業者のこと)の開設口座に対し、デジタルマネーでの賃金支払いが可能になります。(労働基準法の改正)③ 常時1,000人を超える労働者を雇用する事業主は、男性労働者の育児休業等取得率の公表が義務化されます。(育児介護休業法の改正)①通貨払いの原則・・・・・・ ②直接払いの原則・・・・・・③全額払いの原則・・・・・・ ④毎月1回以上払いの原則・・ ⑤一定期日払いの原則・・<改正点>今回の法改正は、「①通貨払いの原則」の「例外」に、デジタルマネーでの支払いが追加されるというもの。あくまで例外ですから、労働者本人の同意が必要です。また、資金移動業者の口座は100万円までと上限が定められているほか、本改正を導入する場合には労使協定での対象労働者の範囲を明確にすることがポイントとなると思われます。Vol.業務支援2023年4月1日からの法改正賃金支払い5原則(労働基準法第24条)会社の守り方

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る