(エリア)に特化した「エリアマーケティング」とも言えます。マーケティングの基本は「誰に(WHO)」「何を(WHAT)」「どのように(HOW)」届けるのかということ。特に重要なのは「誰に(WHO)」の要素。つまり顧客はどんな悩みを抱えていて、どのようなニーズがあるのかを把握することです。具体的に例を見てみましょう。〈例〉Aさんは知人から紹介された物件を使って飲食店を始めたいと思いました。この地域では、作業現場で日々働いている方が多くいます。インターネットで流行りを調査してみると、ヘルシー志向からSNSを中心にオシャレなサラダに話題が集まっているようです。そこで、サラダカフェを開業することにしました。見た目や味など料理の品質にこだわり、野菜はすべて農家直送で新鮮さが自慢です。お店のことを知ってもらおうと一所懸命ポスティングやSNS更新を頑張りましたが、思ったように集客は伸びません。あなたはなぜ、このお店に人が入らないと考えますか?大きな要因として考えられるのは「地域のニーズに合っていない」ということです。このエリアは作業現場で働く人が多く、身体をたくさん動かすことから多くのカロリー補給が必要で、お腹一杯食べたい方が多くいます。そのため、ヘルシーでオシャレな食事よりもボリュームのある食事の方が求められていると考えられます。ニーズ(需要)はボリュームであり、定食屋やラーメン屋、大盛りメニューのあるお弁当屋さんなどの業態を選ぶ方が、お客様が集まる可能性は高くなります。このように、飲食店は世間の流行よりも地域に特化した価値提供が重要な「エリア商売」とも言えるのです。東京・山手線の新大久保駅周辺に韓国料理屋が多いように、地域による特色を考慮することも大切です。「ニーズを把握せよ」とは言っても、具体的にどのように調べればいいのでしょうか。理想的にはその地域の一人ひとりに聞いてまわりたいところですが、なかなかそうもいきません。そこでおすすめの調査方法は、ベンチマーク店舗(その地域で指標となる人気店や繁盛店)を分析することです。立地よりも先に業態が決まっている方は、その業態が流行っている地域を探し、繁盛店を見つけましょう。理想的には10店舗以上、実際にベンチマーク店舗へ足を運んで食べに行き、空間や料理、顧客層を確認。その店が繁盛している理由を考察し、自分の店舗であればどうするかイメージに落とし込んでいきます。実際、エリア調査をすることでもともと考えていた業態から変更を決断し店舗をオープンしたところ、連日満席の人気店となったケースもあります。過去の経験から頭で考えるだけでは本当のニーズは掴めないのだと、強く実感した出来事でした。重要なことは「顧客層にリアルに触れること」で、そのエリアのお客様の本当のニーズを知ることです。一般的に、飲食店の三要素というと「QSC(商品・サービス・清潔感)」が挙げられます。確かに飲食店のマネジメントにおいて重要な考え方である一方、「お客様」について考える要素がなく、ゼロから飲食店を立ち上げる段階においては参考にしにくいでしょう。せっかく苦労して立ち上げる、夢の飲食店です。「ごちそうさま。おいしかった、また来るね!」と言ってもらえる人気店を目指しましょう。 図2 飲食店において重要な考え方は「マーケティング戦略」ティグレニュースキャロット株式会社 代表取締役社長嶋田 光宏フランス料理人として星付きレストラン2店舗で修行を積んだ後、営業職にキャリアチェンジ。コンサルティング企業での業務経験を経てコンサルタントとして独立。「飲食店の成長戦略を共に描く」を理念にキャロット株式会社を設立し、自社プロダクト(業務用EC事業)や食品EC・飲食店の経営支援、マーケティングコンサルティングなどを行っている。15そのエリアのお客様には、どういったニーズがあるのか?そのニーズは何を提供したら埋まるのか?どのように知ってもらい来店してもらうか?よようう!!「「WWHHOO((ニニーーズズ))」」をを考考ええTIGRE NEWS誰にWHOWHAT何をどのようにHOW
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