コラム

納得いく決算を

先日、里帰りをし、先祖の眠る墓前に手を合わせてきました。
私の故郷は、九州です。幸い天気も良く、久しぶりにドライブを楽しみました。途中、ある車輌販売店の前を通り、昔のことが懐かしく思い出されました。
 この車両販売店は、以前、私が勤務しておりました職場のお客様でしたが、そのお客様を大激怒させてしまったことがあるのです。
 決算の概要をお客様へ電話でお伝えしていると、お客様が「なんで、前期よりも業績が悪化しているのに、消費税がこんなに増えるの」と質問されました。私は「はい、前期は車両の在庫が多く・・・・」と説明するも電話ではかなり無理がありました。お客様は「お前の言いよることは、いっちょん分からん。」と大激怒。電話を切られてしまいました。その後、すぐに社長の元へ駆けつけ何とか理解いただきましたが、このことは今も私の業務の指針となっています。

 ところで、消費税は、端的には「収受した消費税」から「支払った消費税」を差引いて、その差額を納付します。
 例えば、売上が1,000万円、仕入が800万円とします。(税抜)この場合、売上げに係る消費税80万円(1,000×8%)から、仕入に係る消費税64万円(800万円×8%)を差引いた16万円を納付することになります。
 ここで、決算日に在庫が400万円あるとします。これは会社の利益計算に影響します。仕入が800万円ありますが、その内、400万円は翌期以降に売れるものなので、当期ではいったん仕入れから除外し、売れた期(以後、翌期に売れたと仮定します)に再び仕入に計上するのです。すなわち、当期の利益は1,000万円―(800万円―400万円)=600万となります。
 このように、消費税と利益の概念は異なります。上記で言えば、在庫に関して、消費税の計算では「当期」(仕入れたとき)に差引き、利益計算の過程では「翌期」(在庫が売れたとき)に差引くのです。

 上記のお客様の場合ですと、前期に在庫が多大にあり、この在庫に係る消費税は前期に既に差引いています。その一方で、利益計算においては、在庫の売れた当期に差引きます。結果、前期より利益は減少しているにも関わらず、消費税額は増加していたのです。

 我々にとって、税務・会計を理解していることは当然ですが、そのことをお客様へ説明し納得していただくことこそ使命です。その能力はまだまだ発展途上ですが、お叱りを受けたこの経験により、今も使命感を忘れずに業務に励むことができています。

【税理士法人ティグレパートナーズ 税理士 中村 哲平】

障害年金の周知について

年金の種類は、大きなくくりでいえば、
「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」があります。その中でも老齢年金は、認知度も高く、ご存知の方も多いと思いますが、それと比べて、障害年金の認知度は、決して高くはないのが実態ではないでしょうか。

 弊社に相談に来られる方も、医者をはじめとする他者からの勧めがあって初めて障害年金の存在を知ったと言っておられる方が複数いらっしゃいます。

 人工弁置換手術をされた方は、「多少の不自由はあっても、普通に生活してたのに、まさか障害年金を貰えるとは」と驚いておられました。絶対ではありませんが、目安として人工関節、人工肛門、人工弁等「人工」とされるものを置換手術した場合、概ね3級相当には該当する場合が多いようです。
また、肺がんで相談に来られた方も、「障害年金は“外傷”による障害で貰えるもので、“病気”で貰えるとは思っていなかった」と仰っていました。前二人とも、病院の先生から障害年金の話があったそうです。

 障害年金の受給要件は、障害等級(1級から3級)に該当することも必要ですが、それ以前に、①初診日において、どの年金制度(国民年金、厚生年金保険)の被保険者であったか(初診日要件)、②初診日の属する月の前々月まで、全加入期間の1/3以上の期間、又は直近1年間に、保険料未納期間がないこと(保険料納付要件)を満たす必要があります。
 3種類の年金の中では、一番手続が複雑と思われる障害年金ですが、その分社労士としては、やりがいを感じますし、受給決定に至り、喜んでいただけたときは、より一層の充実を感じます。

 心身に障害をお持ちの方で、受給要件を満たすにもかかわらず、存在を知らないため受給に至っていない方を一人でも少なくするために、社労士として周知を進めていきたいと思います。

【社会保険労務士 青木 一弘】

不動産の名義変更にはご注意を

毎年、確定申告が終わるとほっと一安心という納税者の方も多いと思います。しかし、その後、納税者のもとに、税務署からいわゆる「お尋ね」の文書(以下、「お尋ね」)が届き、どうしたらいいのかと、ご相談受けることがあります。

 この「お尋ね」とは、税務申告の必要がありそうな納税者に対して税務署が送付する文書です。例えば、自宅を売却した場合、通常登記を行いますが、その情報は法務局より税務署へ送られます。この情報から、税務署は「売却して所得を得たのではないか」という申告の要否を、「お尋ね」により確認するのです。ただ、「お尋ね」が送付されたといって必ず申告義務があるとは限りませんので、専門家にすぐに相談し対処していただきたいと思います。

 さて、この「お尋ね」の1つに、「贈与税の申告についてのお尋ね」というものがあり、毎年相談を受けます。この相談内容は主に、贈与による不動産の名義変更を行っているケースです。そのほとんどは親族間での名義変更ですが、原則、贈与税の対象になります。「贈与」とは、民法で定められており、端的には、「当事者双方のタダであげる、もらうという契約」をいいます。この「タダで」ということに納税者の方々は安心してしまうようで、お金が動いていない、更に親族間での取引であるため、税金の心配は無用と思ってしまうようです。

 贈与税は「相続税を補完する税」と言われています。つまり、生前に親族へ財産を移すことで、相続税を逃れることを防ぐ役割を持っているのです。ですから、税率は、相続税よりも高く設定され、また、基礎控除額(税金の課せられないライン)につきましても110万円(暦年課税の場合)と相続税よりも低く設定されています。

 しかし、一方で、次世代への財産の承継が中々進まない事情もあり、承継を円滑におこなうため、贈与税にいくつかの特例が設けられています。例えば、相続時精算課税制度や配偶者控除です。といっても、これら適用には要件や適用後の注意点等、十分な検討が必要となります。

【税理士法人ティグレパートナーズ 税理士 中村 哲平】